6月30日、日本セルヴィエ株式会社は、急性リンパ性白血病と悪性リンパ腫を対象に開発中の抗悪性腫瘍酵素製剤であるペグアルパガーゼについて、厚生労働省に製造販売承認を申請したと発表した。
ペグアスパルガーゼは、大腸菌由来のL-アスパラキナーゼをポリエチレングリコール(PEG)で修飾した酵素製剤。PEG化によって半減期が延び、血中アスパラキナーゼ活性を維持することで長時間にわたって薬剤の効果が期待できる。また、PEG化することにより免疫原性が低下し、薬剤に対する抗体が生成されにくく、過敏症反応を起こしにくいことが期待される。
今回の申請は、未治療のフィラデルフィア染色体陰性急性リンパ性白血病の日本人患者を対象とした国内第2相試験の結果に基づくもの。他の抗悪性腫瘍剤との併用下において、ペグアスパルガーゼを初回投与してから14日後の血中アスパラキナーゼ活性の基準0.1U/ml以上の達成率は100%を示した。また薬剤投与時に抗薬物抗体陰性であった患者において、ペグアスパルガーゼ投与によって抗体陽性に転じた患者は0人であった。
なお、ペグアスパルガーゼが承認を取得している一部の国では、急性リンパ性白血病(ALL)の第一選択薬として臨床で使用されている。日本においては「未承認薬・適応外薬検討会議」の結果、厚生労働省より開発の要請を受けていた。
日本セルヴィエはリリースにて「当社は、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫に対する新たな治療選択肢を提供することで、患者さまに貢献することを目指し、承認取得に向け今後も最大限の努力をしてまいります」と述べている。
急性リンパ性白血病(ALL)とは 血液がんの1種であり、小児から成人まで幅広い年代で罹患する。小児における白血病の中では最も多く、L-アスパラキナーゼを含めた多剤併用化学療法が治療選択肢である。
悪性リンパ腫とは リンパ系組織のがんの総称であり、多様な病型を呈する。悪性リンパ腫のうち、リンパ芽球性リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫鼻型などに対しては、L-アスパラキナーゼを含めた多剤併用化学療法が選択される。
参照元:日本セルヴィエ株式会社 プレスリリース