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経口HSP90阻害剤ジェセリ、消化管間質腫瘍(GIST)の適応で製造販売承認を取得

[公開日] 2022.06.22[最終更新日] 2022.06.22

6月20日、大鵬薬品工業株式会社は「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍(GIST)」を適応症として、経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害剤であるジェセリ錠40mg(一般名:ピミテスピブ、開発コード:TAS-116、以下ジェセリ)について、国内における製造販売承認を取得したと発表した。

GISTは、消化管の壁に発生し、転移や再発を引き起こす肉腫であり、希少がんの1つ。胃や小腸での発生が多く、大腸や食道での発症は少ないが、胃がんや大腸がんなどのように粘膜から発生する消化器がんとは異なる性質を持つ。多くのGISTは、KIT、PDGFRA遺伝子変異を有しており、これまでのGISTの治療薬はすべて変異遺伝子に対するチロシンキナーゼ阻害剤である。これらの承認薬での治療が終了したGISTに対する治療薬の開発は、いまだ高いアンメット・メディカル・ニーズがある。

ジェセリはHSP90を阻害することで、がんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRAなどの遺伝子のタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示す。

今回の承認は、第3相CHAPTER-GIST-301試験(JapicCTI-184094)の結果に基づくもの。CHAPTER-GIST-301試験は、標準治療薬(イマチニブ、スニチニブおよびレゴラフェニブ)に不応または不耐と判断されたGIST患者におけるジェセリの有効性と安全性をプラセボと比較検証した第3相臨床試験であり、日本人患者86人も参加した。同試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、安全性も管理可能なものであった。

大鵬薬品はリリースにて「大鵬薬品は、アンメット・メディカル・ニーズの高いGISTに対して、本剤が患者さんや医療関係者に貢献できるよう、適正使用の推進に努めてまいります」と述べている。

HSP(Heat Shock Protein)90とは HSP90はストレスに反応すると発現量が増え、タンパク質の機能的構造の形成促進・維持を通じて細胞をストレスから守る役割を有する。通常、細胞は生体内でさまざまなストレスにさらされているが、がん細胞では、低酸素、低栄養、免疫系による排除、遺伝的不安定性といったより多くのストレスにさらされている。HSP90はがん細胞に多く発現し、活性化された状態で存在することにより、がんの生存・維持に重要であると言われている。また、HSP90の発現は、がんの進行や患者さんの予後と相関していると示唆されている。

参照元:
大鵬薬品工業株式会社 ニュースリリース
ニュース GIST ジェセリ

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