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ホルモン受容体陽性HER2陰性のハイリスク原発性乳がんに対する術後療法としてのホルモン療法+エベロリムス、無病生存期間を改善せず

[公開日] 2022.06.09[最終更新日] 2022.06.09

この記事の3つのポイント ・ホルモン受容体陽性HER2陰性のハイリスク原発性乳がん患者が対象の第3相試験 ・術後療法としてのホルモン療法+エベロリムスの有効性・安全性をホルモン療法+プラセボと比較検証 ・3年無病生存率はホルモン療法+エベロリムス群88%であり、  ホルモン療法+プラセボ群(89%)に対し統計学的有意な差は確認されなかった

5月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてホルモン受容体陽性HER2陰性のハイリスク原発性乳がん患者に対する術後療法としてのホルモン療法+mTOR阻害剤薬であるエベロリムスの有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT01805271)の結果がCentre Leon BerardのThomas Bachelot氏らにより公表された。

本試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性のハイリスク原発性乳がん患者(N=1278人)に対する術後療法としてホルモン療法+エベロリムスを2年間投与する群、もしくはホルモン療法+プラセボを2年間投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)を比較検証したランダム化二重盲検の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、アロマターゼ阻害薬抵抗性のある閉経後の転移性乳がん患者に対するmTOR阻害剤薬であるエベロリムスはホルモン療法との併用により無増悪生存期間(PFS)を改善することが示されている。しかしながら、早期乳がん患者に対する術後療法としてのエベロリムスの上乗せ効果の有用性は明らかでない。以上の背景より、ホルモン受容体陽性HER2陰性のハイリスク原発性乳がん患者に対する術後療法としてのホルモン療法+mTOR阻害剤薬エベロリムスの有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である3年無病生存率(DFS)はホルモン療法+エベロリムス群の88%(95%信頼区間:85-91%)に対してホルモン療法+プラセボ群で89%(95%信頼区間:86-91%)と、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.95、95%信頼区間:0.69-1.32、P=0.77)。一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はホルモン療法+エベロリムス群の29.9%に対してホルモン療法+プラセボ群で15.9%であった(P < 0.001)。早期に試験中止となった患者の割合は、エベロリムス投与群の53.4%に対し、プラセボ投与群で22.3%であった。

以上の第3相試験の結果よりThomas Bachelot氏らは「ホルモン受容体陽性HER2陰性のハイリスク原発性乳がん患者に対する術後療法としてのホルモン療法+エベロリムスは、無病生存期間(DFS)を統計学的有意に改善しませんでした。また、半数以上の患者がエベロリムスの投与を試験中に中止したため、術後療法としてエベロリムスを推奨できませんでした」と結論を述べている。

Everolimus Added to Adjuvant Endocrine Therapy in Patients With High-Risk Hormone Receptor–Positive, Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Negative Primary Breast Cancer(J Clin Oncol. 2022 May 23;JCO2102179. doi: 10.1200/JCO.21.02179.)
ニュース 乳がん NCT01805271

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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