BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性高リスク早期乳がんに対する術後補助療法としてのリムパーザ単剤療法、全生存期間を延長ー英アストラゼネカ社ー


  • [公開日]2022.03.30
  • [最終更新日]2022.03.30
この記事の3つのポイント
BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性高リスクの早期乳がん患者が対象の第3相試験
・術後補助療法としてのリムパーザ単剤療法の有効性安全性を比較検証
全生存期間プラセボ単剤群に比べてリムパーザ単剤群で死亡のリスクを32%減少し、延長を示した

3月16日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにてBRCA遺伝子変異陽性HER2陰性高リスクの早期乳がん患者に対する術後補助療法としてのPARP阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下リムパーザ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のOlympiA試験(NCT02032823)の結果が公表された。

OlympiA試験は、BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性高リスクの早期乳がん患者さんに対する術後補助療法として1日2回リムパーザ300mg単剤を投与する群、もしくはプラセボを投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無浸潤疾患生存期間iDFS無作為化からの局所もしくは遠隔再発、新規がん、いかなる死亡イベントとして定義)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証したプラセボ対照多施設共同二重盲検下の第3相試験である。

本試験の結果、重要な副次評価項目である全生存期間(OS)はプラセボ単剤群に比べてリムパーザ単剤群で死亡(OS)のリスクを32%減少(HR:0.68、98.5%信頼区間:0.47-0.97、P=0.009)を示した。3年全生存率(OS)はリムパーザ単剤群の92.8%に対してプラセボ群で89.1%、4年全生存率(OS)はリムパーザ単剤群の89.8%に対してプラセボ群で86.4%を示した。

一方の安全性として、リムパーザの安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。

以上の結果より、OlympiA試験の治験実施責任医師であるThe Institute of Cancer Research and King’s College LondonのAndrew Tutt氏は「OlympiAの最新の結果は、特定の遺伝性乳がんの患者さんにとって素晴らしいニュースです。ほとんどの乳がんは初期段階で発見され、多くの患者さんは順調に経過しますが、診断時に高リスクの疾患を持つ患者さんにとっては、がんの再発リスクが受け入れがたいほど高くなる可能性があります。今回、リムパーザが高リスクの早期乳がんとBRCA1/2遺伝子変異を有する女性患者の再発リスクを低減するだけでなく、全生存期間を改善することを示し、これらの女性にとって疾患特有の生物学を標的とすることの有益性を示す刺激的な実証となりました」と述べている。

Lynparza reduced risk of death by 32% in the adjuvant treatment of patients with germline BRCA-mutated high-risk early breast cancer(AstraZeneca PressReleases)

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