複数治療歴のある再発/難治性濾胞性リンパ腫に対するCD3/ CD20二特異性抗体Mosunetuzumab単剤療法、完全寛解率58%を示すASH 2021


  • [公開日]2022.01.20
  • [最終更新日]2022.01.19
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のある再発/難治性濾胞性リンパ腫患者が対象の第1/2相試験
・Mosunetuzumab(モスネツズマブ)単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率78.9%、完全寛解率58%を示す

2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にて複数治療歴のある再発/難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するCD3とCD20を標的とする二特異性抗体であるMosunetuzumab(モスネツズマブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT02500407)の結果がCity of HopeのL. Elizabeth Budde氏らにより公表された。

本試験は、2レジメン以上の治療歴のある再発/難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者(N=90人)に対して21日を1サイクルとしてMosunetuzumab(1サイクル目の1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に60mg、2サイクル目の1日目に60mg、3サイクル目以降の1日目に30mg)単剤を投与し、主要評価項目として完全寛解率(CR)を検証した第1/2相試験である。

なお、Mosunetuzumab単剤療法の8サイクル目までに完全寛解(CR)を達成した患者は治療を中止し、部分奏効(PR)、病勢安定SD)であった患者は最大17サイクルもしくは病勢進行、予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与されている。

本試験が開始された背景として、濾胞性リンパ腫(FL)は既存の標準治療後でも頻繁に再発する。また、再発後以降の治療ラインでは難治性を示すため、治療効果が期待できない可能性がある。以上の背景より、CD3とCD20を標的とする二特異性抗体であるMosunetuzumab単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に参加した患者の年齡中央値は60歳(29~90歳)、性別は男性が61.1%。進行病期ステージIIIもしくはIVが76.7%。前治療歴中央値は3レジメン(2~10レジメン)。前治療歴の種類はアントラサイクリン系抗がん剤が82.2%、自家幹細胞移植(ASCT)が21.1%、PI3K阻害薬が18.9%、免疫調整薬(IMiDs)が14.4%、BTK阻害薬が6.7%、CAR-T療法が3.3%。抗CD20抗体へ難治性を示した割合は78.9%、抗CD20抗体、アルキル化剤の両剤へ難治性を示した割合は53.3%。POD24(初発治療開始後24ヶ月以内の疾患進行)割合は52.2%であった。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である全患者群(N=90人)における客観的奏効率(ORR)は78.9%(95%信頼区間:69-87%、N=71人)であり、完全寛解率(CR)は57.8%(95%信頼区間:47-68%、N=52人)を示した。POD24群(N=47人)における客観的奏効率(ORR)は83%(95%信頼区間:69-92%)であり、完全寛解率(CR)は55%(95%信頼区間:40-70%)を示した。

前治療歴中央値2レジメン群(N=34人)における客観的奏効率(ORR)は85%(95%信頼区間:69-95%)であり、完全寛解率(CR)は68%(95%信頼区間:49-83%)を示した。前治療歴中央値3レジメン以上群(N=56人)における客観的奏効率(ORR)は75%(95%信頼区間:62-86%)であり、完全寛解率(CR)は52%(95%信頼区間:38-65%)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)はサイトカイン放出症候群CRS)であり、全グレードの発症率は44.4%を示した。重症度別の発症率はグレード1が25.6%、グレード2が16.7%であり、発症したサイトカイン放出症候群(CRS)の大半は重症度の低い内容であった。

その他の有害事象(AE)として、20%以上の患者で確認された有害事象(AE)は下記の通りである。倦怠感が36.7%、頭痛が31.1%、好中球減少症が28.9%、発熱が28.9%、低リン血症が22.2%、そう痒症が21.1%。5%以上の患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は好中球減少症が26.6%、低リン血症が13.3%、高血糖症が7.8%、貧血が7.8%、ALT上昇が5.6%であった。

以上の第1/2相試験の結果よりL. Elizabeth Budde氏らは「複数治療歴のある再発/難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するCD3とCD20を標的とする二特異性抗体Mosunetuzumab単剤療法は、客観的奏効率(ORR)78.9%、完全寛解率(CR)57.8%の高い抗腫瘍効果を示しました。また、忍容性は良好であり、サイトカイン放出症候群(CRS)も管理可能な内容でした」と結論を述べている。

Mosunetuzumab Monotherapy Is an Effective and Well-Tolerated Treatment Option for Patients with Relapsed/Refractory (R/R) Follicular Lymphoma (FL) Who Have Received ≥2 Prior Lines of Therapy: Pivotal Results from a Phase I/II Study(ASH2021 Annual Meeting&Exposition Abstract#127)

×

悪性リンパ腫の治験・臨床試験広告

リサーチのお願い


この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン