放射性ヨウ素抵抗性のある局所進行性/転移性分化型甲状腺がんに対する血管新生阻害薬アパチニブ、無増悪生存期間を改善JAMA Oncologyより


  • [公開日]2022.01.19
  • [最終更新日]2022.01.19
この記事の3つのポイント
・放射性ヨウ素抵抗性のある局所進行性/転移性分化型甲状腺がん患者が対象の第3相試験
・アパチニブ単剤療法有効性安全性プラセボと比較検証
無増悪生存期間はアパチニブ単剤群22.2ヶ月であり、プラセボ(4.5ヶ月)に対し統計学的有意に延長した

2021年12月16日、医学誌『JAMA Oncology』にて放射性ヨウ素抵抗性のある局所進行性/転移性分化型甲状腺がん患者に対する血管新生阻害薬であるアパチニブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のREALITY試験(NCT03048877)の結果がPeking Union Medical College HospitalのYansong Lin氏らにより公表された。

本試験は、放射性ヨウ素抵抗性のある局所進行性/転移性分化型甲状腺がん患者(N=92人)に対して1日1回アパチニブ500mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群(N=46人)、もしくはプラセボ単剤療法を実施する群(N=46人)に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率DCR)、安全性を比較検証した二重盲検ランダム化プラセボ対照の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、放射性ヨウ素抵抗性のある局所進行性/転移性分化型甲状腺がんは予後不良であり、治療選択肢が非常に限られている。以上の背景より、血管新生阻害薬であるアパチニブ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に参加した92人の年齡中央値は55.7歳、性別は女性が60.9%(N=56人)。以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値18.1ヶ月時点における結果は下記の通りである。

本試験の主要評価項目である主治医評価の無増悪生存期間(PFS)中央値はアパチニブ単剤群の22.2ヶ月(95%信頼区間:10.91ヶ月-未到達)に対してプラセボ単剤群で4.5ヶ月(95%信頼区間:1.94-9.17ヶ月)と、プラセボに比べてアパチニブ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを74%(HR:0.26、95%信頼区間:0.14-0.47、P<0.001)統計学的有意に改善した。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はアパチニブ単剤群の54.3%(95%信頼区間:39.0-69.1%)に対してプラセボ単剤群で2.2%(95%信頼区間:0.1-11.5%)、病勢コントロール率(DCR)はアパチニブ単剤群の95.7%(95%信頼区間:85.2-99.5%)に対してプラセボ単剤群で58.7%(95%信頼区間:43.2-73.0%)を示した。

全生存期間(OS)中央値はアパチニブ単剤群の未到達(95%信頼区間:26.25ヶ月-未到達)に対してプラセボ単剤群で29.9ヶ月(95%信頼区間:18.96ヶ月-未到達)と、プラセボに比べてアパチニブ単剤群で死亡(OS)のリスクを58%(HR:0.42、95%信頼区間:0.18-0.97、P=0.04)減少した。

一方の安全性として、アパチニブ単剤群の患者で最も多く確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧34.8%(N=16人)、手足症候群17.4%(N=8人)、蛋白尿15.2%(N=7人)、下痢15.2%(N=7人)であった。

以上のREALITY試験の結果よりYansong Lin氏らは「放射性ヨウ素抵抗性のある局所進行性/転移性分化型甲状腺がん患者に対する血管新生阻害薬であるアパチニブ単剤療法は、プラセボ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。また、全生存期間(OS)も改善し、有害事象(AE)も管理可能でした」と結論を述べている。

Apatinib vs Placebo in Patients With Locally Advanced or Metastatic, Radioactive Iodine-Refractory Differentiated Thyroid Cancer: The REALITY Randomized Clinical Trial(JAMA Oncol. 2021 Dec 16. doi: 10.1001/jamaoncol.2021.6268.)

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