EGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がんに対する二次治療としてのタグリッソ+アバスチン併用療法、無増悪生存期間の延長を認めずAnnals of Oncologyより


  • [公開日]2021.12.07
  • [最終更新日]2021.12.06
この記事の3つのポイント
・EGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
二次治療としてのタグリッソアバスチン併用療法の有効性安全性をタグリッソ単剤療法と比較検証
無増悪生存期間は15.4ヶ月を示し、タグリッソ単剤(12.3ヶ月)に対し統計学的有意差は認めなかった

2021年11月25日、医学誌『Annals of Oncology』にてEGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する二次治療としてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるタグリッソ(一般名:オシメルチニブ、以下タグリッソ)+抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるアバスチン(一般名:ベバシズマブ、以下アバスチン)併用療法、タグリッソ単剤療法を比較検証した第2相のBOOSTER試験の結果がNational University Cancer InstituteのR.A. Soo氏らにより公表された。

BOOSTER試験とは、EGFR阻害薬に抵抗性を示したEGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者(N=155人)に対する二次治療として1日1回タグリッソ80mg+3週を1サイクルとしてベバシズマブ15mg/kg併用療法を投与する群(N=78人)、または1日1回タグリッソ80mg単剤療法を投与する群(N=77人)に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率ORR)、有害事象(AE)発症率を比較検証した第2相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値33.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、タグリッソ+アバスチン併用群の15.4ヶ月(95%信頼区間:9.2-18.0ヶ月)に対してタグリッソ単剤群で12.3ヶ月(95%信頼区間:6.2-17.2ヶ月)を示し、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR=0.96、95%信頼区間:0.68-1.37、P=0.83)。

副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は、タグリッソ+アバスチン併用群の24.0ヶ月(95%信頼区間:17.8-32.1ヶ月)に対してタグリッソ単剤群で24.3ヶ月(95%信頼区間:16.9-37.0ヶ月)であり、タグリッソ+アバスチン併用療法で死亡リスク(OS)が3%増加した(HR=1.03、95%信頼区間:0.67-1.56)。

客観的奏効率(ORR)は、タグリッソ+アバスチン併用群の55%に対して、タグリッソ単剤群で55%を示した。治療成功期間(Time to Treatment Failure)中央値は、タグリッソ+アバスチン併用群の8.2ヶ月に対してタグリッソ単剤群で10.8ヶ月(P=0.0074)を示し、タグリッソ+アバスチン併用群で治療成功期間中央値が短縮した。一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、タグリッソ+アバスチン併用群の47%に対してタグリッソ単剤群で18%を示した。

以上のBOOSTER試験の結果よりR.A. Soo氏らは「EGFR T790M変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する二次治療としてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬タグリッソ+抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ併用療法、タグリッソ単剤療法の無増悪生存期間(PFS)改善効果は同等でした。また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はタグリッソ+ベバシズマブ併用群で効率でした」と結論を述べている。

A randomised phase II study of osimertinib and bevacizumab versus osimertinib alone as second-line targeted treatment in advanced NSCLC with confirmed EGFR and acquired T790M mutations: the European Thoracic Oncology Platform (ETOP 10-16) BOOSTER trial(Ann Oncol. 2021 Nov 25;S0923-7534(21)04825-0. doi: 10.1016/j.annonc.2021.11.010.)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン