局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)に対する3次治療以降のアバプリチニブ単剤療法、無増悪生存期間の有意差認めずJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2021.08.18
  • [最終更新日]2021.08.16
この記事の3つのポイント
・局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)患者が対象の第3相試験
・3次治療以降のアバプリチニブ単剤療法有効性安全性レゴラフェニブ単剤療法と比較検証
・アバプリチニブ群の無増悪生存期間は4.2ヶ月で、レゴラフェニブ群の5.6ヶ月に対して有意差は認められなかった

2021年8月3日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)に対する3次治療以降のアバプリチニブ単剤療法のの有効性、安全性をレゴラフェニブ単剤療法と比較検証した第3相のVOYAGER試験(NCT03465722)の結果がUniversity of Ulsan College of MedicineのYoon-Koo Kang氏らにより公表された。

VOYAGER試験は、局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)患者(N=476人)に対する3次治療以降の治療法として1日1回アバプリチニブ300mg単剤を4週間投与する群(N=240人)、または1日1回レゴラフェニブ160mg単剤を3週間投与し、1週間休薬する群(N=236人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、全生存期間OS)、安全性、病勢コントロール率、奏効持続期間(DOR)を比較検証した第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はアバプリチニブ単剤群4.2ヶ月に対してレゴラフェニブ単剤群5.6ヶ月、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:1.25、95%信頼区間:0.99-1.57、P=0.055)。副次評価項目である全生存期間(OS)はデータが未成熟であった。

客観的奏効率(ORR)はアバプリチニブ単剤群17.1%に対してレゴラフェニブ単剤群7.2%、奏効持続期間(DOR)中央値はアバプリチニブ単剤群7.6ヶ月に対してレゴラフェニブ単剤群9.4ヶ月、病勢コントロール率(DCR)はアバプリチニブ単剤群41.7%(95%信頼区間:35.4%-48.2%)に対してレゴラフェニブ単剤群46.2%(95%信頼区間:39.7%-52.8%)を示した。

一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はアバプリチニブ単剤群92.5%に対してレゴラフェニブ単剤群96.2%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はアバプリチニブ単剤群55.2%に対してレゴラフェニブ単剤群57.7%で、同等であった。

以上のVOYAGER試験の結果よりYoon-Koo Kang氏らは「局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)に対する3次治療以降のアバプリチニブ単剤療法は、レゴラフェニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)の優越性を示すことができませんでした」と結論を述べている。

Avapritinib Versus Regorafenib in Locally Advanced Unresectable or Metastatic GI Stromal Tumor: A Randomized, Open-Label Phase III Study(J Clin Oncol. 2021 Aug 3;JCO2100217. doi: 10.1200/JCO.21.00217.)

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