2021年6月4日~8日、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にてGPRC5DとCD3の二重特異性抗体Talquetamab(タルクエタマブ:JNJ-64407564)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03399799)の結果がSarah Cannon Research Institute and Tennessee OncologyのJesus G. Berdeja氏らにより公表された。
本試験は、複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者(N=174人)に対して、1~2週を1サイクルとしてTalquetamab(タルクエタマブ)0.5~180µg/kg単剤療法を静脈内投与する群(N=102人)と、1~2週を1サイクルとしてTalquetamab(タルクエタマブ)5.0~800µg/kg単剤療法を皮下投与する群(N=72人)に振り分け、主要評価項目として第2相試験推奨用量(RP2D)、用量制限毒性(DLT)、第2相試験推奨用量(RP2D)における安全性、忍容性を検証した第1相試験である。
本試験が開始された背景として、Gタンパク質共役受容体の一種であるGPRC5Dは、多発性骨髄腫(MM)の形質細胞に発現している。Talquetamab(タルクエタマブ)はGPRC5DとCD3を標的にする二重特異性抗体であるため、再発/難治性多発性骨髄腫の治療薬になり得る可能性がある。以上の背景より、本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である第2相試験推奨用量(RP2D)は、Talquetamab(タルクエタマブ)405µg/kgを1週1サイクルで皮下投与し、10.0µg/kg、60µg/kgを漸増投与することと確認された。第2相試験推奨用量(RP2D)が投与された患者(N=28人)の年齢中央値は61.5歳(46~80歳)、前治療歴中央値は5.5サイクル(2~14サイクル)であった。
第2相試験推奨用量(RP2D)群で最も多く確認された全グレードの有害事象(AE)は、サイトカイン放出症候群(CRS)79%、好中球減少症64%、貧血57%、味覚障害57%、感染症32%、神経毒性7%を示した。なお、用量制限毒性(DLT)は1人の患者でも確認されていない。
第2相試験推奨用量(RP2D)群における客観的奏効率(ORR)は63%で、最良部分奏効(VGPR)以上を達成した患者は50%を示し、初回奏効が確認されるまでの期間中央値は1.0ヶ月(0.2~3.8ヶ月)を示した。
以上の第1相試験の結果よりJesus G. Berdeja氏らは「複数治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者に対する抗Gタンパク質共役受容体クラス5メンバーD(GPRC5D)/CD3二重特異性抗体Talquetamab(タルクエタマブ)単剤療法は、第2相試験推奨用量(RP2D)群において持続的で有効な抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。
Updated results of a phase 1, first-in-human study of talquetamab, a G protein-coupled receptor family C group 5 member D (GPRC5D) × CD3 bispecific antibody, in relapsed/refractory multiple myeloma (MM).(2021 ASCO Annual Meeting,Abstract No:8008)