2021年3月12日、医学誌『The Lancet Oncology』にて再発/難治性古典的ホジキンリンパ腫患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を抗CD30抗体薬物複合体であるアドセトリス(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン、以下アドセトリス)と比較検証した第3相のKEYNOTE-204試験(NCT02684292)の中間解析の結果がPrincess Margaret Cancer CentreのJohn Kuruvilla氏らにより公表された。
KEYNOTE-204試験とは、再発/難治性古典的ホジキンリンパ腫患者(N=304人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤投与する群(N=151人)、または3週を1サイクルとしてアドセトリス1.8mg/kg単剤投与する群(N=153人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は再発/難治性古典的ホジキンリンパ腫に対して良好な抗腫瘍効果を示している。以上の背景より、再発/難治性古典的ホジキンリンパ腫の標準治療である抗CD30抗体薬物複合体アドセトリス単剤療法に対するキイトルーダの有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ単剤群13.2ヶ月(95%信頼区間:10.9-19.4ヶ月)に対してアドセトリス単剤群8.3ヶ月(95%信頼区間:5.7-8.8ヶ月)、キイトルーダ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%(HR:0.65、95%信頼区間:0.48-0.88、P=0.0027)減少した。
最も多くの患者で確認されたグレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。肺炎はキイトルーダ単剤群4%に対してアドセトリス単剤群1%、好中球減少症はキイトルーダ単剤群2%に対してアドセトリス単剤群7%、好中球数減少はキイトルーダ単剤群1%に対してアドセトリス単剤群5%、末梢神経障害はキイトルーダ単剤群1%に対してアドセトリス単剤群3%。重篤な有害事象(SAE)発症率はキイトルーダ単剤群16%に対してアドセトリス単剤群11%であった。
以上のKEYNOTE-204試験の結果よりJohn Kuruvilla氏らは「再発/難治性古典的ホジキンリンパ腫患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、アドセトリス単剤群に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。安全性はこれまでの報告と同様でした」と結論を述べている。 Pembrolizumab versus brentuximab vedotin in relapsed or refractory classical Hodgkin lymphoma (KEYNOTE-204): an interim analysis of a multicentre, randomised, open-label, phase 3 study(Lancet Oncol. 2021 Mar 12;S1470-2045(21)00005-X. doi: 10.1016/S1470-2045(21)00005-X.)