・AKT阻害薬capivasertib+フルベストラント併用療法の有効性・安全性を比較検証
・capivasertib群で病勢進行または死亡のリスクを42%統計学有意に改善
2020年2月5日、医学誌『The Lancet Oncology』にてアロマターゼ阻害薬治療後に病勢進行した閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性または転移性乳がん患者に対するAKT阻害薬であるAZD5363(capivasertib)+フルベストラント併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のFAKTION試験(NCT01992952)の結果がVelindre Cancer CentreのRobert H Jones氏らにより公表された。
FAKTION試験とは、アロマターゼ阻害薬治療後に病勢進行した閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性または転移性乳がん患者(N=183人)に対して1日2回capivasertib 400mg+フルベストラント500mg併用療法を投与する群(N=69人)、またはプラセボ+フルベストラント500mg併用療法を投与する群(N=71人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証したプラセボ対照ランダム化の第2相試験である。
本試験の無増悪生存期間(PFS)イベント112件(capivasertib群で49人、プラセボ群で63人)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はcapivasertib群10.3ヶ月(95%信頼区間:5.0‐13.2ヶ月)に対してプラセボ群4.8ヶ月(95%信頼区間:3.1‐7.7ヶ月)、capivasertib群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを42%(HR:0.58,95%信頼区間:0.39‐0.84,P=0.0044)統計学有意に改善した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。高血圧がcapivasertib群32%に対してプラセボ群24%、下痢がcapivasertib群14%に対してプラセボ群4%、皮膚障害がcapivasertib群20%に対してプラセボ群0%、感染症がcapivasertib群6%に対してプラセボ群3%、疲労がcapivasertib群1%に対してプラセボ群4%を示した。なお、重篤な有害事象(SAE)としてcapivasertib群で急性腎障害、下痢、発疹、高血糖、意識喪失、敗血症、嘔吐がそれぞれ確認された。
以上のFAKTION試験の結果よりRobert H Jones氏らは以下のように結論を述べている。”アロマターゼ阻害薬治療後に病勢進行した閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行性または転移性乳がん患者に対するAZD5363(capivasertib)+フルベストラント併用療法は、プラセボ療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しました。”
Fulvestrant plus capivasertib versus placebo after relapse or progression on an aromatase inhibitor in metastatic, oestrogen receptor-positive breast cancer (FAKTION): a multicentre, randomised, controlled, phase 2 trial(Lancet Oncol. 2020 Feb 5. pii: S1470-2045(19)30817-4. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30817-4.)