・抗PD-1抗体薬キイトルーダ+レンビマ併用療法の有効・安全性を検証
・客観的奏効率は腎細胞がんで63%を示すなど、臨床的に意義のある抗腫瘍効果を示した
2020年1月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて腎細胞がん(RCC)、子宮内膜がん、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)、悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん(NSCLC)、尿路上皮がんなどの進行性固形がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+レンバチニブ(商品名レンビマ;以下レンビマ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT02501096)の結果がJohns Hopkins MedicineのMatthew H Taylor氏らにより公表された。
本試験は、腎細胞がん、子宮内膜がん、頭頸部扁平上皮がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん、尿路上皮がんなどの進行性固形がん患者(N=137人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+1日1回レンビマ20~24mg併用療法を投与し、主要評価項目として第1相段階では最大耐用量(MTD)、第2相段階では24週時点の客観的奏効率(ORR)を検証した第1/2相試験である。なお、第1相段階では13人、第2相段階では124人の患者が登録されている。
本試験の結果、第1相段階における主要評価項目である最大耐用量(MTD)は下記の通りである。1日1回レンビマ24mgの用量ではグレード3の関節痛、疲労が2人の患者で確認され、1日1回レンビマ20mgの用量では用量制限毒性(DLT)が確認されなかった。以上の結果より、第2相試験推奨用量(RPIID)は1日1回レンビマ20mgとして決定された。
第2相段階における主要評価項目である24週時点の客観的奏効率(ORR)は下記の通りである。腎細胞がん63%(N=19/30人,95%信頼区間:43.9%-80.1%)、子宮内膜がん52%(N=12/23人,95%信頼区間:30.6%-73.2%)、頭頸部扁平上皮がん36%(N=8/22人,95%信頼区間:17.2%-59.3%)、悪性黒色腫(メラノーマ)52%(N=11/23人,95%信頼区間:30.6%-73.2%)、非小細胞肺がん33%(N=7/21人,95%信頼区間:14.6%-57.0%)、尿路上皮がん25%(N=5/20人,95%信頼区間:8.7%-49.1%)を示した。
また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は下記の通りである。腎細胞がん19.8ヶ月(95%信頼区間:9.9‐24.1ヶ月)、子宮内膜がん9.7ヶ月(95%信頼区間:4.2ヶ月‐未到達)、頭頸部扁平上皮がん4.7ヶ月(95%信頼区間:4.0‐9.8ヶ月)、悪性黒色腫(メラノーマ)5.5ヶ月(95%信頼区間:2.6‐15.8ヶ月)、非小細胞肺がん5.9ヶ月(95%信頼区間:2.3‐13.8ヶ月)、尿路上皮がん5.4ヶ月(95%信頼区間:1.3ヶ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は975を示し、その内訳は下記の通りである。疲労58%、下痢52%、高血圧47%、甲状腺機能低下症42%。また、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)発症率60%、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)発症率7%、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率26%を示した。
以上の第1/2相試験の結果よりMatthew H Taylor氏らは以下のように結論を述べている。”進行性固形がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+レンビマ併用療法は、臨床的に意義のある抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした。”
Phase IB/II Trial of Lenvatinib Plus Pembrolizumab in Patients With Advanced Renal Cell Carcinoma, Endometrial Cancer, and Other Selected Advanced Solid Tumors (10.1200/JCO.19.01598 Journal of Clinical Oncology)