2017年10月5日、切除不能悪性黒色腫患者に対するtalimogene laherparepvec(商品名IMLYGIC;以下IMLYGIC)+イピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法有効性を検証した第Ib/II相の’264試験(NCT01740297)の結果を医学誌『Journal of Clinical Oncology 』に掲載したことをアムジェン社が自社のプレスリリースで公表した。

‘264試験とはステージIIIまたはIV悪性黒色腫患者(N=198人)に対してIMLYGIC+ヤーボイ併用療法を投与する群(N=98人)、またはヤーボイ単剤療法を投与する群(N=100人)に振り分け、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)、副次評価項目である病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した多施設共同オープラベルの第Ib/II相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はヤーボイ単剤療法群18%に対してIMLYGIC+ヤーボイ併用療法群は39% (ハザード比2.9,95%信頼区間:1.5-5.5,p=0.002)と、併用療法群で2倍以上の奏効率を示すことが判った。また、客観的奏効率(ORR)と同様に完全奏効(CR)を達成した割合はヤーボイ単剤療法群7%に対してIMLYGIC+ヤーボイ併用療法群は13% と、併用療法群で約2倍の患者が完全奏効(CR)を達成することが判った。

本試験では病態の進行度合い別、BRAF遺伝子変異別の客観的奏効率(ORR)についても検証しており、ステージIII/IV/IV M1aの患者群ではヤーボイ単剤療法群19%に対してIMLYGIC+ヤーボイ併用療法群は44%(p=0.007)、ステージIV M1b/IV M1cの患者群では単剤療法群16%に対して併用療法群は33%(p=0.09)であった。

そして、BRAF遺伝子野生型の患者群ではヤーボイ単剤療法群10%に対してIMLYGIC+ヤーボイ併用療法群は42% (p=0.007)、ステージIV M1b/IV M1cの患者群では単剤療法群16%に対して併用療法群は33% (p<0.0001)、BRAF遺伝子変異型では単剤療法群32%に対して併用療法群は34% (p=1.0)であった。

また、副次評価項目であるフォローアップ期間中央値68週時点における無増悪生存期間(PFS)はヤーボイ単剤療法群6.4ヶ月対してIMLYGIC+ヤーボイ併用療法群8.2ヶ月(ハザード比0.83,95%信頼区間:0.56-1.23,p=0.35)と統計学的な有意差は確認されなかった。なお、全生存期間(OS)は現在検証中である。

同じ副次評価項目である病勢コントロール率(DCR)はというと、ヤーボイ単剤療法群42%対してIMLYGIC+ヤーボイ併用療法群58%(p=0.033)、BRAF遺伝子変異を有する患者群を除いては全ての患者群でIMLYGIC+ヤーボイ併用療法に優位な結果を示していた。

一方、安全性については発症率の高い有害事象をヤーボイ単剤療法、IMLYGIC+ヤーボイ併用療法の順に挙げると以下の通りである。疲労(42%:53%)、下痢35%:42%)、痒み(36%;40%)、発疹(28%:39%)、嘔吐(24%:38%)、悪寒(3%:53%)であった。

'264試験の有効性と安全性の結果を受けてルイズビル大学ジェームス・グラハム・ブラウンがんセンターの医師兼'264試験論文の筆者であるJason Chesney氏は以下のようなコメントを述べている。”進行性悪性黒色腫は腫瘍の増殖スピードは非常に早いため、多種多様な治療方法が必要である。本試験では、免疫チェックポイント阻害薬であるヤーボイに対してIMLYGICを併用する臨床意義が転移性悪性黒色腫患者において証明された。”

また、アムジェン社の研究開発部門エクゼクティブ・バイスプレジデントのSean E. Harper氏は以下のようなコメントを述べている。”IMLYGICは米国で承認された初めての腫瘍溶解性ウイルス製剤である。本日付で医学誌『Journal of Clinical Oncology 』に掲載された臨床結果は、免疫チェックポイント阻害薬とIMLYGICを併用する意義に対する科学的仮説を後押しするであろう。我々
の研究開発が癌免疫療法を発展させることに対して興奮を隠しきれない。”

以上のように、IMLYGIC+ヤーボイ併用療法は切除不能悪性黒色腫患者に対して主要評価項目である客観的奏効率(ORR)を達成し、安全性においても問題ないことが証明された。IMLYGICは米国で承認された初めての腫瘍溶解性ウイルス製剤であり、免疫チェックポイント阻害薬をはじめ他の治療薬との併用療法の開発が期待されている。今回の解析結果では未到達であった副次評価項目の全生存期間(OS)の結果を含め、'264試験などの臨床試験については今後も注目していく必要があるであろう。

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