治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対するサークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法、完全奏効率39.7%を示す米国血液学会議(ASH 2020)


  • [公開日]2020.12.18
  • [最終更新日]2020.12.17
この記事の3つのポイント
・治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
サークリサカイプロリス+デキサメタゾン併用療法有効性安全性を比較検証
完全奏効率は39.7%を示し、微小残存病変陰性率は30%だった

2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗CD38抗体であるイサツキシマブ(商品名サークリサ;以下サークリサ)+プロテアソーム阻害薬であるカルフィルゾミブ(商品名カイプロリス;以下カイプロリス)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のIKEMA試験(NCT03275285)の結果がUniversity of CaliforniaのThomas Martin氏らにより公表された。

IKEMA試験とは、治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対して28日を1サイクルとしてサークリサ10mg/kg(1サイクル目は毎週、2サイクル目以降は隔週)+カイプロリス20/56mg/m2(週2回)+デキサメタゾン併用療法を投与する群、または28日を1サイクルとしてカイプロリス20/56mg/m2(週2回)+デキサメタゾン併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、微小残存病変(MRD)、全生存期間OS)などを比較検証した無作為化多施設共同非盲検の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、多発性骨髄腫における微小残存病変(MRD)陰性率は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の改善に関係することが示されている。以上の背景より、深い奏効を達成することが期待される抗CD38抗体サークリサにカイプロリス、デキサメタゾンを併用することで無増悪生存期間(PFS)の改善効果があるかを検証する目的で本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値20.7ヵ月時点における結果は下記の通りである。最良部分奏効率(VGPR)以上の奏効率(RR)はサークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン併用群72.6%に対してカイプロリス+デキサメタゾン併用群56.1%(P=0.011)、完全奏効率(CR)はサークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン併用群39.7%に対してカイプロリス+デキサメタゾン併用群27.6%を示した。

微小残存病変(MRD)陰性率はサークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン併用群30%(N=53/179人)に対してカイプロリス+デキサメタゾン併用群13%(N=16/123人)、完全奏効率(CR)かつ微小残存病変(MRD)陰性率はサークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン併用群20.1%(N=36/179人)に対してカイプロリス+デキサメタゾン併用群10.6%(N=13/123人)を示した。

微小残存病変(MRD)ステータス別の無増悪生存期間(PFS)の結果は下記の通りである。微小残存病変(MRD)陰性群における病勢進行または死亡(PFS)のリスクはカイプロリス+デキサメタゾン併用群に比べてサークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン併用群で42.2%(HR:0.578,95%信頼区間:0.052-6.405)。微小残存病変(MRD)陽性群における病勢進行または死亡(PFS)のリスクはカイプロリス+デキサメタゾン併用群に比べてサークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン併用群で33.0%(HR:0.670,95%信頼区間:0.452-0.993)。

以上のIKEMA試験の結果よりThomas Martin氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗CD38抗体サークリサ+プロテアソーム阻害薬カイプロリス+デキサメタゾン併用療法は、カイプロリス+デキサメタゾン併用療法に比べて深い奏効を達成し、完全奏効率(CR)は39.7%に到達しました。また、微小残存病変(MRD)陰性化は無増悪生存期間(PFS)の改善に関係していることも示されました。”

Depth of Response and Response Kinetics of Isatuximab Plus Carfilzomib and Dexamethasone in Relapsed Multiple Myeloma: Ikema Interim Analysis(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 414)

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