11月27日、小野薬品工業株式会社は、再発/難治性の多発性骨髄腫に対するプロテアソーム阻害剤であるカイプロリス(一般名:カルフィルゾミブ)点滴静注用10mg、40mg(以下カイプロリス)について、カイプロリスの週2回のレジメンで、デキサメタゾンとダラザレックス(一般名:ダラツムマブ、以下ダラザレックス)と併用する新たな治療法(DKd療法)が可能になったと発表した。
多発性骨髄腫は血液がんの一種で、骨髄内の形質細胞の異常によって発症する。日本での患者数は約2万5千人と報告されている。多発性骨髄腫の治療法は複数あるが、寛解と再発を繰り返しながら進行したり、どの治療法も有効性を示せなくなる。長期的な治療では、副作用や合併症が出現したりなど難渋する症例が少なくない。そのため、新たな治療薬の開発が期待されている。
今回の併用療法の追加は第3相CANDOR試験(ONO-7057-07)の結果に基づくもの。CANDOR試験では、1~3回の治療歴がある再発/難治性多発性骨髄腫患者(N=466人)を対象に、カイプロリス+デキサメタゾン+ダラザレックス併用療法(DKd、N=312人)とカイプロリス+デキサメタゾンの併用療法(Kd、N=154人)を比較し、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、微小残存病変(MRD)などを検討した。
同試験の結果、主要評価項目であるPFSはDKd群で未到達、Kd群で15.8ヵ月であり、病勢進行または死亡リスクを37%軽減し、統計学的有意に延長した(HR:0.63、95%信頼区間:0.464-0.854、p=0.0014)。なお、安全性プロファイルはこれまでの報告と一貫していた。
今回の追加承認により、カイプロリスの週2回のレジメンにおいて、カイプロリス+デキサメタゾン+ダラザレックス併用療法の投与も可能になったことで、より高い治療効果が期待される。
カイプロリスとは カイプロリスは高い選択性を有するプロテアソーム阻害剤。プロテアソームは細胞内に存在する酵素複合体のことで、ポリユビキチン化されたタンパクを分解する作用を有し、細胞の増殖、分化および機能的細胞死を制御している。カイプロリスはプロテアソームを阻害することにより、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導する。日本では2016 年に再発/難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾンの3 剤併用療法で製造販売承認を取得して以来、カイプロリス+デキサメタゾンの2 剤併用療法も承認されていた。
参照元:小野薬品工業株式会社 ニュースリリース