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ホルモン受容体陽性HER2陰性ハイリスク早期乳がんに対する標準ホルモン療法+ベージニオ、無浸潤疾患生存期間を改善

[公開日] 2020.10.07[最終更新日] 2020.10.07

この記事の3つのポイント
・ホルモン受容体陽性HER2陰性ハイリスク早期乳がん患者が対象の第3相試験
・標準ホルモン療法+ベージニオ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・併用療法の無浸潤疾患生存率は97.7%であり、浸潤または死亡リスクを25%減少した

2020年9月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてHER2陰性ホルモン受容体陽性ハイリスク早期乳がん患者に対する標準ホルモン療法+CDK4/6阻害薬であるベージニオ(一般名:アベマシクリブ、以下ベージニオ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のmonarchE試験(NCT03155997)の結果がRoyal Marsden NHS Foundation TrustのStephen R. D. Johnston氏らにより公表された。

本試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性ハイリスク早期乳がん患者に対して標準ホルモン療法+1日2回ベージニオ150mg併用療法を投与する群、または標準ホルモン療法のみを投与する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無浸潤疾患生存期間(IDFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した国際無作為化第3相試験である。

本試験が開始された背景として、多くのHER2陰性ホルモン受容体陽性ハイリスク早期乳がんは現在の標準治療により再発や遠隔転移を経験しない。しかし臨床的、病理学的にハイリスクの特徴を有する患者の最大30%が治療終了後の数年以内に再発を経験するため新たな治療選択肢の開発が必要である。また、ベージニオはホルモン受容体陽性HER2陰性ハイリスク早期乳がん患者に対して承認された経口CDK4/6阻害薬である。本試験では、標準治療ホルモン療法に併用の有用性の検証が行われた。

本試験に登録された5,637人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は51.0歳、40歳未満は12.6%。性別は女性99.4%。閉経後の人は56.5%。前治療歴は放射線療法95.4%、術前化学療法37.0%、術後化学療法58.3%、術前術後化学療法3.5%。

主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(IDFS)は標準ホルモン療法に比べて標準ホルモン療法+ベージニオ併用療法は浸潤または死亡(IDFS)のリスクを25%(HR:0.75、95%信頼区間:0.60-0.93、P=0.01)減少、2年無浸潤疾患生存率(IDFS)は標準ホルモン療法+ベージニオ併用群92.2%に対して標準ホルモン療法群88.7%を示した。

一方の安全性として、少なくとも1種類以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は標準ホルモン療法+ベージニオ併用群97.9%に対して標準ホルモン療法群86.1%を示した。標準ホルモン療法+ベージニオ併用群で最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は下痢、好中球減少症、疲労であった。

以上の第3相試験の結果よりStephen R. D. Johnston氏らは「HER2陰性ホルモン受容体陽性ハイリスク早期乳がん患者に対する標準ホルモン療法+CDK4/6阻害薬ベージニオ併用療法は、標準ホルモン療法に比べて無浸潤疾患生存期間(IDFS)を改善しました」と結論を述べている。

Abemaciclib Combined With Endocrine Therapy for the Adjuvant Treatment of HR+, HER2−, Node-Positive, High-Risk, Early Breast Cancer (monarchE)(J Clin Oncol. 2020 Sep 20;JCO2002514. doi: 10.1200/JCO.20.02514.)
ニュース 乳がん CDK4/6阻害薬

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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