7月8日、大塚製薬株式会社(以下大塚製薬)および米国子会社のアステック社、大鵬薬品工業株式会社(以下大鵬薬品)および米国子会社の大鵬オンコロジーは骨髄異形成症候群(MDS)と慢性骨髄単球性白血病(CMML)に対して、新規抗がん剤である「INQOVI(経口C-DEC、以下INQOVI)」が米国食品医薬品局(FDA)とカナダ保健省より適応の承認を取得したことを発表した。
これまでMDSとCMML患者へは経口投与可能なDNAメチル化阻害剤はなかった。そのため患者は注射剤投与のために医療機関への通院が必須であった。INQOVIはアステックス社が開発したDNAメチル化阻害剤であるDacogen(一般名:decitabine)の有効成分にdecitabineの分解を抑制する新規の代謝酵素阻害剤であるcedazuridineを加えた経口用DNAメチル化阻害配合剤であり、世界初である。
今回の承認は、MDSおよびCMML患者に対して行った薬物動態に基づく用量漸増、用量確認のための第1/2相試験(NCT02103478)と注射用のdecitabine製剤と同等の薬物動態、薬力学、安全性、有効性を証明した第3相ASCERTAIN試験(NCT03306264)の結果に基づく。(参照元:アステック社2020年2月11日リリース)なお、同薬は2019年8月にFDAより希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。
第3相試験の治験統括医師を務めたテキサス大学MDアンダーソンがんセンターのGuillermo Garcia-Manero教授は「静脈内または皮下投与されたDNAメチル化阻害剤は、2000年代半ば以降、MDSおよびCMML患者さんの治療の要となっています。このたびのFDAによるINQOVIの承認は、これらの疾患において実証されたDNAメチル化阻害剤の治療的有用性に基づいています」と述べている。
同薬剤については、日本において低リスクMDS患者30名を目標とし、有効性と薬力学的作用を評価することを目的に第1相試験が行われている。
ASCERTAIN試験について 骨髄異形成症候群、慢性骨髄性単球性白血病および急性骨髄性白血病の患者に対しcedazuridine 100mgとdecitabine 35mgの配合錠を28日1サイクルとし、1サイクル目で配合錠を1日1回5日間投与し、2サイクル目に注射剤としてのdecitabine20mg/m2を投与する群、1サイクル目で注射剤としてのdecitabine20mg/m2を投与し、2サイクル目で配合錠を投与する群に1:1で割り付けられたランダム化クロスオーバー試験。cedazuridine 100mgとdecitabine 35mgの配合錠が注射剤decitabine投与と同等の主要評価項目である薬物血中濃度-時間曲線下面積(AUC)を満たした。また、有害事象(AE)も経口薬のみに見られるものはなく、注射剤の安全性プロファイルと一致していた。
参照元:大塚製薬株式会社 プレスリリース