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血中循環腫瘍DNAはステージIII大腸がんの再発リスクを検出するバイオマーカーとして有効

[公開日] 2019.11.08[最終更新日] 2019.11.08

この記事の3つのポイント ・ステージIIIの大腸がん患者が対象の第3相試験
・再発リスクを検証するバイオマーカーとして血中循環腫瘍DNAの有用性を検証
・血中循環腫瘍DNAが検出された患者群は再発リスクが3.8倍有意に高かった

2019年10月17日、医学誌『JAMA Oncology』にてステージIII大腸がん患者における再発リスクを検証するバイオマーカーとしての血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の有用性を検証したコホート試験の結果がWalter and Eliza Hall Institute of Medical ResearchのJeanne Tie氏らにより公表された。

本試験は、新規にステージIII大腸がんとして診断された患者(N=96人)に対し、術後4~10週以内の期間、術後化学療法終了後6週以内の期間において血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を検査を実施し、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の検出可否により無再発期間(RFI)に差異が出るかどうかを比較検証した多施設共同のコホート試験である。

本試験が実施された背景として、ステージIII大腸がん患者は術後化学療法後であっても再発するリスクが高いことが判っている。それにも関わらず、術後化学療法後のステージIII大腸がんにおいて再発リスクの高い患者を区別するのが現状では困難である。以上の背景より、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)は微小残存病変を検出可能であり、その検出結果により再発リスクを判定できる可能性があるため本試験が開始された。

本試験の結果、術後化学療法終了後6週以内に血中循環腫瘍DNA(ctDNA)が検出された患者群(N=20/96人)は検出されなかった患者群に比べて再発リスクが3.8倍(HR:3.8,95%信頼区間:2.4-21.0,P <0.001)統計学的有意に高かった。

また、術後4~10週以内に血中循環腫瘍DNA(ctDNA)が検出された患者群(N=15/88人)における3年無再発率(RFI)は30%に対して検出されなかった患者群77%、術後4~10週以内に血中循環腫瘍DNA(ctDNA)が検出されなかった患者群に比べて3年以内の再発リスクが6.8倍(HR:6.8,95%信頼区間:11.0-157.0,P <0.001)統計学的有意に高かった。

以上のコホート試験の結果よりJeanne Tie氏らは以下のように結論を述べている。”ステージIII大腸がん患者における再発リスクを検証するバイオマーカーとしての血中循環腫瘍DNA(ctDNA)は、術後、術後化学療法後に検出することにより再発リスクを特定できる可能性が本試験により証明されました。今後、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)により再発リスクが高いと特定された患者に対しては、新しい治療選択肢等を開発する必要があるでしょう。”

Circulating Tumor DNA Analyses as Markers of Recurrence Risk and Benefit of Adjuvant Therapy for Stage III Colon Cancer(JAMA Oncol. 2019 Oct 17. doi: 10.1001/jamaoncol.2019.3616.)
ニュース 大腸がん バイオマーカー

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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