進行性悪性黒色腫患者に対するキイトルーダ、ヤーボイに比べて5年無増悪生存期間、5年全生存期間を統計学的有意に改善The Lancet Oncologyより


  • [公開日]2019.08.09
  • [最終更新日]2020.03.11
この記事の3つのポイント
・進行性悪性黒色腫患者が対象の第3相KEYNOTE-006試験
キイトルーダ単剤療法とヤーボイ単剤療法の有効性安全性を比較・検証
・キイトルーダ群で病勢進行または死亡のリスクを43%改善、死亡リスクを27%改善した

2019年7月22日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法、抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-006試験(NCT01866319)の5年長期フォローアップの結果がInstitut Gustave RoussyのCaroline Robert氏らにより公表された。

KEYNOTE-006試験とは、進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対して2週を1サイクルとしてキイトルーダ10mg/kg単剤療法を投与する群(N=279人)、3週を1サイクルとしてキイトルーダ10mg/kg単剤療法を投与する群(N=277人)、または3週を1サイクルとしてヤーボイ3mg/kg単剤療法を投与する群(N=278人)に1対1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)を比較検証した国際多施設共同ランダム化第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値57.7ヶ月(56.7-59.2ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ群8.4ヶ月(95%信頼区間:6.6-11.3ヶ月)に対してヤーボイ群3.4ヶ月(95%信頼区間:2.9-4.2ヶ月)、キイトルーダ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを43%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.57,95%信頼区間:0.48-0.67,P<0.0001)。

もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群32.7ヶ月(95%信頼区間:24.5-41.6ヶ月)に対してヤーボイ群15.9ヶ月(95%信頼区間:13.3-22.0ヶ月)、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを27%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.73,95%信頼区間:0.61-0.88,P=0.00049)。

一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群17%(N=96人)に対してヤーボイ群20%(N=50人)、重篤な治療関連有害事象(SAE)発症率はキイトルーダ群14%(N=75人)に対してヤーボイ群18%(N=45人)を示した。なお、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は大腸炎がキイトルーダ群2%に対してヤーボイ群6%、下痢がキイトルーダ群2%に対してヤーボイ群3%、疲労がキイトルーダ群1%未満に対してヤーボイ群1%。

以上のKEYNOTE-006試験の5年長期フォローアップの結果よりCaroline Robert氏らは以下のように結論を述べている。”進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、ヤーボイ単剤療法に比べて5年無増悪生存期間(PFS)、5年全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました。”

Pembrolizumab versus ipilimumab in advanced melanoma (KEYNOTE-006): post-hoc 5-year results from an open-label, multicentre, randomised, controlled, phase 3 study.(Lancet Oncol. 2019 Jul 22. pii: S1470-2045(19)30388-2. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30388-2.)

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