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局所進行性直腸がん患者に対する術前療法としての化学放射線療法後の化学療法、化学療法後の化学放射線療法に比べて病理学的完全寛解率は良好

[公開日] 2019.08.06[最終更新日] 2019.08.06

この記事の3つのポイント ・局所進行性直腸がん患者が対象の臨床試験
・術前療法としての化学放射線療法後の化学療法の有効性・安全性を検証
・化学療法後の化学放射線療法に比べて、病理学的完全寛解率、治療遵守率とも良好であった

2019年7月3~6日までスペイン・バルセロナで開催されたthe ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019(WCGC 2019)にて、局所進行性直腸がん患者に対する術前療法としての化学放射線療法後の化学療法の有効性、安全性を検証した臨床試験の結果がUniversity Hospital MannheimのRalf Hofheinz氏らにより公表された。

本試験は、ステージII~III直腸がん患者(N=304人)に対して術前化学療法として化学療法(フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン)を3サイクル投与後に化学放射線療法(フルオロウラシル+オキサリプラチン+50×4Gy)を投与し手術をする群(CT/CRT/S;以下CT/CRT/S群)、または化学放射線療法後に化学療法を投与し手術をする群(CRT/CT/S;以下CRT/CT/S群)に分け、主要評価項目として病理学的完全寛解(pCR)、副次評価項目として安全性、化学療法施行遵守率などを検証した試験である。なお、主要評価項目である病理学的完全寛解率(pCR)の達成基準は現在の標準治療を15%を参考にして25%として設定されている。

本試験の結果、主要評価項目である病理学的完全寛解率(pCR)はCT/CRT/S群17%(95%信頼区間:12%-24%,P<.210)に対してCRT/CT/S群25%(95%信頼区間:18%-32%,P<.0002)を示し、CRT/CT/S群のみが主要評価項目の達成基準を満たした。

一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はCT/CRT/S群37%に対してCRT/CT/S群27%で低率であった。また、治療遵守率はCT/CRT/S群に比べてCRT/CT/S群で高率であり、CRT/CT/S群のそれぞれの治療遵守率は97%、87%、93%に対してCT/CRT/S群は91%、78%、76%を示した。

以上の臨床試験の結果よりRalf Hofheinz氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行性直腸がん患者に対する術前療法としての化学放射線療法後の化学療法(CRT/CT/S)は、化学療法後の化学放射線療法(CT/CRT/S)に比べて病理学的完全寛解率(pCR)、治療遵守率とも良好であり、本患者に対する新しいシークエンスになり得る可能性が本試験より示唆されました。”

Randomized phase 2 trial of chemoradiotherapy plus induction or consolidation chemotherapy as total neoadjuvant therapy for locally advanced rectal cancer: CAO/ARO/AIO-12(World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019 Abstract #O-011)
ニュース 大腸がん ロイコボリン

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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