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ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者に対するレブラミド単剤療法、3年無増悪生存率91%を示す

[公開日] 2019.05.27[最終更新日] 2019.05.27

この記事の3つのポイント ・ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者が対象の第2/3相試験
・免疫調節薬レブラミド単剤療法の有効性・安全性
・経過観察群と比べ、レブラミド単剤群で病勢進行または死亡のリスクが72%減少
2019年5月15日、ASCO News Releaseにてハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者に対する免疫調節薬(iMids)であるレナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2/3相のE3A06試験(NCT01169337)の結果がWinship Cancer Institute of Emory UniversityのSagar Lonial氏らにより公表された。 E3A06試験とは、ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者に対して第2相段階では44人の患者に対して28日を1サイクルとして1~21日目にレブラミド25mg単剤療法を投与し、第3相階では182人の患者に対して28日を1サイクルとして1~21日目にレブラミド25mg単剤療法を投与する群(N=90人)、または経過観察をする群(N=92人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した第2/3相試験である。 本試験が実施された背景として、2015年に報告された別の臨床試験でレブラミド+デキサメタゾン併用療法を本患者に対して投与することで全生存期間(OS)、多発性骨髄腫発症までの期間(TPP)を統計学有意に改善することが示されている。しかしながら、この臨床試験では患者スクリーン方法が標準的でなかったために、現在のハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者に対する標準治療は経過観察である。以上の背景より、第2/3相試験であるE3A06試験が開始された。 本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は下記の通りである。第2相段階での3年無増悪生存率(PFS)は87%を示した。また、第3相段階での1、2、3年無増悪生存率(PFS)はレブラミド単剤群で98%、93%、91%に対して経過観察群89%、76%、66%を示し、レブラミド単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを72%減少した(HR:0.28,p=0.0005)。 一方の安全性として、レブラミドの治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は第2相段階で80%、第3相段階で51%である。グレード3~4の非血液関連治療関連有害事象(TRAE)発症率は28%を示し、最も多くの患者で確認されたのは疲労であった。また、グレード4の血液関連治療関連有害事象(TRAE)発症率は5.7%を示し、最も多くの患者で確認されたのは好中球減少症であった。なお、次性原発悪性腫瘍(SPM)の3年累積発生率はレブラミド群5.2%に対して経過観察群3.5%を示した。 以上のE3A06試験の結果よりSagar Lonial氏らは以下のように結論を述べている。”ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者は、主に2種類のタイプの性格を持っております。それは、病態が多発性骨髄腫に進展することを恐れ何か対策を講じたい患者、または経過観察を好む患者。今回の試験で得られた知見は、前者の患者に対する新しい治療選択肢になり得るでしょう。”

Lenalidomide Reduces Risk That Precancer Myeloma Will Progress to Overt Multiple Myeloma in High Risk Individuals(ASCO News Releases, FOR IMMEDIATE RELEASE May 15, 2019)

ニュース 多発性骨髄腫 NCT01169337

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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