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門脈浸潤を伴う肝細胞がん患者に対するネクサバール+FOLFOX肝動注療法、全生存期間を統計学的有意に改善するJAMA Oncologyより


  • [公開日]2019.05.22
  • [最終更新日]2019.09.10
この記事の3つのポイント
門脈浸潤を伴う肝細胞がん患者が対象の第3相試験
・ネクサバール+FOLFOX肝動注療法の有効性安全性を比較検証
・ネクサバール単剤に比べ、ネクサバール+肝動注療法で死亡のリスクが65%有意に減少

2019年5月9日、医学誌『JAMA Oncology』にて門脈浸潤を伴う肝細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブ(商品名ネクサバール;以下ネクサバール)+FOLFOX肝動注療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02774187)の結果がSun Yat-sen University Cancer CenterのMinKe He氏らにより公表された。

本試験は、門脈浸潤を伴う肝細胞がん患者(N=247人)に対して1日2回ネクサバール400mg単剤療法を投与する群、または1日2回ネクサバール400mg+FOLFOX肝動注療法(オキサリプラチン85mg/m2+ロイコボリン400mg/m2+フルオロウラシル400mg/m2~2400mg/m2)を投与する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として全生存期間OS)、副次評価項目として安全性などを比較検証した多施設共同の第3相試験である。

本試験が実施された背景として、肝細胞がんの患者の中で門脈浸潤を伴う肝細胞がんと診断される割合は約13~32%程度である。その患者の予後は非常に不良であり、最良支持療法BSC)による全生存期間(OS)中央値は2.7~4.0ヶ月程度ある。本患者に対する現在の標準治療であるネクサバール単剤療法でも全生存期間(OS)中央値は5.5~7.2ヶ月程度であり、治療成績を向上させる治療の開発が必要である。

本試験に登録された患者背景は下記の通り。

年齢中央値
ネクサバール+肝動注療法群=49歳(41-55歳)
ネクサバール群=49歳(40-56歳)

性別
ネクサバール+肝動注療法群=男性88.8%、女性11.2%
ネクサバール群=男性91.8%、女性8.2%

ECOG Performance status
ネクサバール+肝動注療法群=スコア0が9.6%、スコア1が63.2%、スコア2が27.2%
ネクサバール群=スコア0が7.4%、スコア1が68.0%、スコア2が24.6%

肝細胞がんの原因
ネクサバール+肝動注療法群=HBV感染80.0%、HCV感染4.8%、その他15.2%
ネクサバール群=HBV感染81.1%、HCV感染5.7%、その他13.1%

組織学的門脈侵襲性
ネクサバール+肝動注療法群=Vp1-2が19.2%、Vp3が43.2%、Vp4が37.6%
ネクサバール群=Vp1-2が19.6%、Vp3が43.4%、Vp4が36.9%

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はネクサバール+肝動注療法群13.37ヶ月(95%信頼区間:10.27-16.46ヶ月)に対してネクサバール単剤群7.13ヶ月(95%信頼区間: 6.28-7.98ヶ月)、ネクサバール+肝動注療法群で死亡(OS)のリスクを65%統計学的有意に減少した(HR:0.35,95%信頼区間:0.26-0.48,P <0.001)。

その他評価項目である客観的奏効率ORR)はネクサバール+肝動注療法群40.8%(N=51人)に対してネクサバール単剤群2.46%(N=2人)、ネクサバール+肝動注療法群で高率であった(P <0.001)。また、無増悪生存期間PFS)中央値はネクサバール+肝動注療法群7.03ヶ月(95%信頼区間:6.05-8.02ヶ月)に対してネクサバール単剤群2.6ヶ月(95%信頼区間: 2.15-3.05ヶ月,P <0.001)を示した。

一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はネクサバール+肝動注療法群95.16%に対してネクサバール単剤群90.08%、グレード3-4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はネクサバール+肝動注療法群53.23%に対してネクサバール単剤群42.15%の患者で確認され、両群間の発症率はほぼ同等であった。

なお、ネクサバール単剤群よりもネクサバール+肝動注療法群で発症率の高かったグレード3-4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。好中球減少症でネクサバール+肝動注療法群9.68%に対してネクサバール単剤群2.48%、血小板減少性でネクサバール+肝動注療法群12.9%に対してネクサバール単剤群4.96%、嘔吐でネクサバール+肝動注療法群6.45%に対してネクサバール単剤群0.83%であった。

以上の第3相試験の結果よりMinKe He氏らは以下のように結論を述べている。”門脈浸潤を伴う肝細胞がん患者に対するネクサバール+FOLFOX肝動注療法はネクサバール単剤群に比べて全生存期間(OS)を改善し、治療関連有害事象(TRAE)も許容できる内容でした。”

Sorafenib Plus Hepatic Arterial Infusion of Oxaliplatin, Fluorouracil, and Leucovorin vs Sorafenib Alone for Hepatocellular Carcinoma With Portal Vein Invasion: A Randomized Clinical Trial.(JAMA Oncol. 2019 May 9. doi: 10.1001/jamaoncol.2019.0250.)

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