・局所地固め療法+放射線併用療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間の有用性が確認され、試験の早期中止を決定
2019年5月8日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて少数転移(oligometastatic disease)を伴う非小細胞肺がん患者に対する局所地固め療法+放射線併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのDaniel R. Gomez氏らにより公表された。
本試験は、ファーストライン治療後3ヶ月以上病勢進行のない3ヶ所以下の少数転移(oligometastatic disease)を伴う非小細胞肺がん患者に対する局所地固め療法+放射線併用療法を投与する群(N=25人,略称LCT)、または主治医選択の標準治療としての維持療法または経過観察をする群(N=24人,略称MT/O)に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、有害事象(AE)などを比較検証した多施設共同無作為下第2相試験である。
本試験が実施された背景として、ファーストライン治療後に病勢進行のない少数転移(oligometastatic disease)を伴う非小細胞肺がん患者に対する局所地固め療法+放射線併用療法または手術療法は無増悪生存期間(PFS)を改善することが示されている。以上の背景より、本試験が実施された。
本試験に登録された患者背景は下記の通り。
年齢中央値
LCT群=63歳(43-83歳)
MT/O群=61歳(43-80歳)
性別
LCT群=男性48%、女性52%
MT/O群=男性42%、女性58%
人種
LCT群=白人80%、黒人8%、ヒスパニック系8%、アジア人4%
MT/O群=白人75%、黒人12%、ヒスパニック系0%、アジア人12%
転移個数
LCT群=0-1個68%、2-3個32%
MT/O群=0-1個62%、2-3個38%
ファーストライン治療における奏効率
LCT群=部分奏効(PR)または完全奏効(CR)36%、病勢安定(SD)64%
MT/O群=部分奏効(PR)または完全奏効(CR)38%、病勢安定(SD)62%
中枢神経系(CNS)転移の有無
LCT群=なし72%、あり28%
MT/O群=なし75%、あり25%
リンパ節ステータス
LCT群=N0/N1が48%、N2/N3が52%
MT/O群=N0/N1が46%、N2/N3が54%
遺伝子変異ステータス
LCT群=EGFR陽性12%、EML4ALK陽性8%、なし80%
MT/O群=EGFR陽性12%、EML4ALK陽性0%、なし88%
本試験のフォローアップ期間中央値38.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はLCT群14.2ヶ月(95%信頼区間:7.4-23.1ヶ月)に対してMT/O群4.4ヶ月(95%信頼区間:2.2-8.3ヶ月)、LCT群で統計学的有意に改善した(P=0.022)。なお、LCT群で無増悪生存期間(PFS)の有用性が確認されたため、49人の患者が無作為化された時点で独立データモニタリング委員会は試験の早期中止を決定した。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はLCT群41.2ヶ月(95%信頼区間:18.9ヶ月-未到達)に対してMT/O群17.0ヶ月(95%信頼区間:10.1-39.8ヶ月)、LCT群で統計学的有意に改善した(P=0.017)。また、病勢進行後の生存期間中央値はLCT群37.6ヶ月に対してMT/O群9.4ヶ月を示した。
以上の第2相試験の結果よりDaniel R. Gomez氏らは以下のように結論を述べている。”少数転移(oligometastatic disease)を伴う非小細胞肺がん患者に対する局所地固め療法+放射線併用療法は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました。