複数治療歴のある局所進行性または転移性大腸がん患者に対するテセントリク+コビメチニブ併用療法、全生存期間を統計学有意に改善しないThe Lancet Oncologyより


  • [公開日]2019.04.23
  • [最終更新日]2019.04.22
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のある局所進行性または転移性大腸がん患者が対象の第3相試験
テセントリク+コビメチニブ併用療法とテセントリク単剤療法スチバーガ単剤療法と比較検証
・スチバーガに比べて全生存期間を統計学有意に改善しなかった

2019年4月16日、医学誌『The Lancet Oncology』にて複数治療歴のある局所進行性または転移性大腸がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+MEK阻害薬であるコビメチニブ併用療法、テセントリク単剤療法の抗悪性腫瘍薬/キナーゼ阻害薬であるレゴラフェニブ(商品名スチバーガ;以下スチバーガ)単剤療法に対する有効性を比較検証した第3相のIMblaze370試験(NCT02788279)の結果がMD Anderson Cancer CenterのCathy Eng氏らにより公表された。

IMblaze370試験とは、少なくとも2レジメン以上の治療歴のある局所進行性または転移性大腸がん患者(N=363人)に対して28日を1サイクルとして1、15日目にテセントリク840mg +1~21日目にコビメチニブ60mg併用療法を投与する群(N=183人)、または21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg単剤療法を投与する群(N=90人)、または28日を1サイクルとして1~21日目にスチバーガ160mg単剤療法を投与する群(N=90人)に2対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した国際多施設共同非盲検下の第3相試験である。

本試験の追跡期間中央値7.3ヶ月(95%信頼区間:3.7-13.6ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はテセントリク+コビメチニブ併用療法8.87ヶ月(95%信頼区間:7.00-10.61ヶ月)、テセントリク単剤療法7.10ヶ月(95%信頼区間:6.05-10.05ヶ月)、スチバーガ単剤療法群8.51ヶ月(95%信頼区間:6.41-10.71ヶ月)、スチバーガと比べてテセントリク+コビメチニブ併用療法で死亡(OS)のハザードリスク1.00(95%信頼区間:0.73-1.38,P=0.99)、テセントリク単剤療法で1.19(95%信頼区間:0.83-1.71,P=0.34)を示した。

一方の安全性として、テセントリク+コビメチニブ併用療法群において最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は下痢11%(N=20人)、貧血6%(N=10人)、血清クレアチンホスホキナーゼ増加7%(N=12人)、倦怠感4%(N=8人)であった。

以上のIMblaze370試験の結果よりCathy Eng氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある局所進行性または転移性大腸がん患者に対するテセントリク+コビメチニブ併用療法、テセントリク単剤療法は、スチバーガに比べて全生存期間(OS)を統計学有意に改善しませんでした。”

Atezolizumab with or without cobimetinib versus regorafenib in previously treated metastatic colorectal cancer (IMblaze370): a multicentre, open-label, phase 3, randomised, controlled trial(The Lancet Oncology, Published:April 16, 2019)

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