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ステージIII治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル、TS-1単独に比べて無再発生存期間を統計学有意に改善

[公開日] 2019.03.31[最終更新日] 2019.03.31

この記事の3つのポイント ・ステージIII治癒切除胃がん患者が対象の第3相試験
・術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル併用療法の有効性・安全性を比較検証
・TS-1単独と比較して、再発または死のリスクを36.8%統計学的有意に減少

2019年3月29日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてステージIII治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(商品名TS-1;以下TS-1)+ドセタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のJACCRO GC-07:START-2試験の結果が岐阜大学・腫瘍外科・吉田 和弘氏らにより公表された。

JACCRO GC-07:START-2試験とは、ステージIII治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてTS-1+ドセタキセル併用療法を投与する群、またはTS-1単独療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として3年無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として3年、5年全生存期間(OS)、 治療成功期間(TTF)、安全性などを比較検証したランダム化比較の第3相試験である。

本治療が実施された背景として、過去の臨床試験で治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのTS-1単剤療法は手術単独に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善することが示されている。また、近年はカペシタビン+オキサリプラチン併用療法がTS-1単剤療法と同等の治療成績を示している。しかしながら、ステージIII胃がん患者の予後はまだまだ不良であるため、さらなる治療成績の向上が必要とされており、本治療が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。

年齢中央値

TS-1+ドセタキセル群=66歳(28-80歳)
TS-1群=66歳(29-80歳)

性別

TS-1+ドセタキセル群=男性69%(N=311人)、女性31%(N=143人)
TS-1群=男性72%(N=332人)、女性28%(N=127人)

ECOG Performance Status

TS-1+ドセタキセル群=スコア0が86%(N=389人)、スコア1が14%(N=65人)
TS-1群=スコア0が87%(N=401人)、スコア1が13%(N=58人)

病期

TS-1+ドセタキセル群=ステージIIIAが32%(N=147人)、ステージIIIBが35%(N=158人)、ステージIIICが33%(N=149人)
TS-1群=ステージIIIAが32%(N=149人)、ステージIIIBが35%(N=160人)、ステージIIICが33%(N=150人)

TNM分類におけるT因子

TS-1+ドセタキセル群=T2が4%(N=18人)、T3が37%(N=169人)、T4が59%(N=267人)
TS-1群=T2が6%(N=26人)、T3が38%(N=174人)、T4が56%(J=259人)

TNM分類におけるN因子

TS-1+ドセタキセル群=N0が1%(N=6人)、N1が12%(N=55人)、N2が32%(N=143人)、N3が55%(N=250人)
TS-1群=N0が1%(N=3人)、N1が9%(N=42人)、N2が33%(N=153人)、N3が57%(N=261人)

なお、両群間で患者背景に大きな偏りはなかった。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である3年無再発生存期間(RFS)はTS-1+ドセタキセル群66%(95%信頼区間:59-73%)に対してTS-1群50%(95%信頼区間:41-58%)、TS-1+ドセタキセル群で再発または死亡(RFS)のリスクを36.8%統計学的有意に減少(HR:0.632,99.99%信頼区間:0.400-0.998,P<0.001)した。なお、無再発生存期間(RFS)中央値はTS-1+ドセタキセル群で未到達に対してTS-1群で34.5ヶ月(95%信頼区間:29.5ヶ月-未到達)であった。

一方の安全性として、TS-1+ドセタキセル群の20%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は食欲不振、貧血、脱毛症、皮膚色素沈着過剰症、白血球減少症、疲労感、流涙、末梢感覚性ニューロパチー、悪心、好中球減少、口内炎、倦怠感、体重減少、下痢、高ビリルビン血症であった。

また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はTS-1+ドセタキセル群58%(95%信頼区間:53-63%,N=198/341人)に対してTS-1群42%(95%信頼区間:37-47%,N=147/348人)を示した。なお、TS-1+ドセタキセル群の5%以上の患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症、白血球減少症、食欲不振、発熱性好中球減少症、口内炎、貧血、悪心であった。

以上のJACCRO GC-07:START-2試験の結果より岐阜大学・腫瘍外科・吉田 和弘氏らは以下のように結論を述べている。”ステージIII治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてのTS-1+ドセタキセル併用療法は無再発生存期間(RFS)を統計学有意に改善し、懸念される有害事象(AE)の発現も少なかったです。”

Addition of Docetaxel to Oral Fluoropyrimidine Improves Efficacy in Patients With Stage III Gastric Cancer: Interim Analysis of JACCRO GC-07, a Randomized Controlled Trial(Journal of Clinical Oncology, Published online March 29, 2019.)

ニュース 胃がん テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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