・ローブレナ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・ザーコリ治療歴のある患者ではALK遺伝子ステータスに関係なく抗腫瘍効果を示す
2019年3月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてALK阻害薬治療歴のある非小細胞肺がん患者に対する第3世代ALK阻害薬であるロルラチニブ(商品名ローブレナ;以下ローブレナ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験の結果がMassachusetts General HospitalのAlice T. Shaw氏らにより公表された。
本試験は、クリゾチニブ(商品名ザーコリ;以下ザーコリ)または第2世代ALK阻害薬治療歴のある非小細胞肺がん患者(N=198人)に対して1日1回ローブレナ100mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した第2相試験である。なお、本試験ではcfDNA、腫瘍組織に基づいて分子プロファイリングを検証している。
本試験の追跡調査期間中央値16.6ヶ月(95%信頼区間:15.2-17.0ヶ月)時点における結果は下記の通りである。ザーコリ治療歴のある患者群(N=59/198人)における客観的奏効率(ORR)は73%(95%信頼区間:60-84%)、奏効持続期間(DOR)は未到達(95%信頼区間:8.4ヶ月-未到達)、無増悪生存期間(PFS)中央値は11.1ヶ月(95%信頼区間:8.2ヶ月-未到達)を示した。
そして、ザーコリ治療歴のある患者群はcfDNAに基づいてALK陽性群(N=11/59人)、ALK陰性群(N=44/59人)に分けて検証されており、その結果は下記の通りである。客観的奏効率(ORR)はALK陽性群73%に対してALK陰性群75%を示した。また、腫瘍組織に基づく場合の客観的奏効率(ORR)はALK陽性群73%に対してALK陰性群74%を示した。以上の結果より、ザーコリ治療歴のある非小細胞肺がん患者に対するローブレナ単剤療法は、ALK遺伝子ステータスに関係なく抗腫瘍効果を示すことが判った。
一方、第2世代ALK阻害薬治療歴のある患者群(N=139/198人)における客観的奏効率(ORR)は40%(95%信頼区間:32-49%)、奏効持続期間(DOR)は7.1ヶ月(95%信頼区間:5.6-24.4ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は6.9ヶ月(95%信頼区間:5.4-8.2ヶ月)を示した。
そして、第2世代ALK阻害薬治療歴のある患者群はcfDNAに基づいてALK陽性群(N=34/139人)、ALK陰性群(N=94/139人)に分けて検証されており、その結果は下記の通りである。客観的奏効率(ORR)はALK陽性群62%に対してALK陰性群32%を示した。また、腫瘍組織に基づく場合の客観的奏効率(ORR)はALK陽性群69%に対してALK陰性群27%を示した。以上の結果より、ザーコリとは違い前治療歴が第2世代ALK阻害薬の場合、非小細胞肺がん患者に対するローブレナ単剤療法はALK遺伝子陽性群に対して高い抗腫瘍効果を示した。
以上の第2相試験の結果よりAlice T. Shaw氏らは以下のように結論を述べている。”第2世代ALK阻害薬治療歴のある非小細胞肺がん患者に対するローブレナ単剤療法は、ALK陰性よりもALK陽性の患者に対して高い抗腫瘍効果を示しました。そして、第2世代ALK阻害薬の治療後に病勢進行した非小細胞肺がん患者に対して腫瘍組織に基づたジェノタイピングを検証することで、臨床的意義のある可能性が本試験より示唆されました。”