2019年3月1日~5日まで米国・ワシントンD.C.で開催された米国皮膚科学会議2019(American Academy of Dermatology)にて、皮膚がん早期発見のためのAIアルゴリズムの可能性についての演題がNYU Langone HealthのRoger S. Ho氏により公表された。
現在、皮膚がん早期発見のためのAIアルゴリズムは研究段階においては有望であることが判っているが、臨床現場で用いるのは時期尚早である。なぜなら、AIアルゴリズムの基になっている全ての画像が診断の正確性を担保するために最適な条件下で撮影されたものではないからである。
また、皮膚がんは白人にとって一般的であるが、有色人種にとっては稀である。そのため、有色人種における皮膚がんの発見は進行した状態で見つかる場合が多く、その場合の治療は非常に困難になる。それにも関わらず、皮膚がん早期発見のための現在のAIアルゴリズムの基になっている大半の画像は手のひら、足の裏など、有色人種の人々の特徴が現れる部位の病変を含んでいない。
さらに、後期に悪性黒色腫(メラノーマ)の発症する可能性は格差があり、AIアルゴリズムをトレーニングしてもその正確性を担保できるかどうかは明白でない。
以上の背景より、Roger S. Ho氏は皮膚がん早期発見のためのAIアルゴリズムの可能性について下記のようにコメントを述べている。”皮膚がん早期発見の基になるAIアルゴリズムは、人種、年齢など様々な条件を考慮して構築する必要があります。皮膚がんを早期発見するために100%正確なAIアルゴリズムを構築することは難しいですが、皮膚科医の診断をサポートするレベルまでは到達することはできるでしょう。”