この記事の3つのポイント
・再発難治性慢性リンパ性白血病患者対象の第I/II相試験
・イムブルビカ投与群と非投与群の有効性、安全性を比較検証
・イムブルビカ単剤療法は忍容性が良好でCAR-T療法の治療関連有害事象減少の可能性あり
2018年12月1日より4日まで米国・サンディエゴで開催されている第60回米国血液学会(ASH)にて、再発難治性慢性リンパ性白血病患者に対するCD19標的CAR-T療法治療前、治療中または治療後のBTK阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)の有効性、安全性を検証した第I/II相試験の結果がFred Hutchinson Cancer Research Center・Jordan Gauthier氏により公表された。
本試験は、再発難治性慢性リンパ性白血病患者(N=38人)に対するCD19標的CAR-T療法治療前、治療中または治療後に1日1回イムブルビカ420mgを投与する群(N=17人)、またはイムブルビカを投与しない群(N=19人)に振り分け、CD19標的CAR-T療法に与えるイムブルビカの有効性、安全性を比較検証した第I/II相試験である。
本試験に登録された患者背景は以下の通りである。
・年齢中央値はイムブルビカ投与群で65歳(55-69歳)、イムブルビカ非投与群で61歳(54-64歳)。
・性別はイムブルビカ投与群で男性59%、女性41%、イムブルビカ非投与群で男性63%、女性37%。
・ECOG Performance Statusはイムブルビカ投与群でスコア0が47%、スコア1が53%、イムブルビカ非投与群でスコア0が47%、スコア1が53%。
・染色体異常はイムブルビカ投与群でdel(17p)陽性76%、イムブルビカ非投与群でdel(17p)陽性89%。
・5cm以上のバルキー病変の有無はイムブルビカ投与群であり18%、イムブルビカ非投与群であり26%。
・前治療歴中央値はイムブルビカ投与群で5レジメン(4-7レジメン)、イムブルビカ非投与群で5レジメン(4-6レジメン)など。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は以下の通りである。客観的奏効率(ORR)はイムブルビカ投与群88%(N=14/17人)に対してイムブルビカ非投与群56%(N=10/19人)を示した(P=0.06)。
また、CAR-T療法特有の治療関連有害事象(TRAE)であるサイトカイン放出症候群(CRS)、神経毒性の発症率は、サイトカイン放出症候群(CRS)においては全グレードでイムブルビカ投与群76%(N=13/17人)に対してイムブルビカ非投与群89%(N=17/19人)、グレード3-5でイムブルビカ投与群0%に対してイムブルビカ非投与群26%(N=5/19人)。神経毒性においては全グレードでイムブルビカ投与群29%(N=5/17人)に対してイムブルビカ非投与群42%(N=8/19人)。
以上の第I/II相試験の結果より、Jordan Gauthier氏は以下のように結論を述べている。“再発難治性慢性リンパ性白血病患者に対するCD19標的CAR-T療法治療前、治療中または治療後のイムブルビカ単剤療法は忍容性が良好であり、CAR-T療法特有の治療関連有害事象(TRAE)を減少させる可能性が示唆されました。”
299 Comparison of Efficacy and Toxicity of CD19-Specific Chimeric Antigen Receptor T-Cells Alone or in Combination with Ibrutinib for Relapsed and/or Refractory CLL あなたは医師ですか。