進行頭頸部がんを対象としたイミフィンジおよびトレメリムマブの 第III相EAGLE試験の結果を報告


  • [公開日]2018.12.14
  • [最終更新日]2019.03.15

2018年12月7日、アストラゼネカおよびアストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは、第III相EAGLE試験の全生存期間OS) の結果を発表した。

EAGLE試験による第III相試験

EAGLE試験(注1)は、腫瘍のPD-L1発現を問わず、白金製剤を用いた化学療法後に病勢進行が認められた再発性または転移性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者を対象に、デュルバルマブ遺伝子組み換え)(商品名:イミフィンジ) (以下、「イミフィンジ」)単剤療法またはイミフィンジと抗CTLA-4抗体であるトレメリムマブ(遺伝子組換え)(以下、「トレメリムマブ」)の併用療法を、標準化学療法と比較する多施設共同無作為化非盲検第III相試験である。

イミフィンジ単剤療法またはイミフィンジとトレメリムマブの併用療法は、これら難治性患者さんにおいて標準化学療法との比較で主要評価項目であるOS改善を達成することができなかった。
イミフィンジおよび同剤と、トレメリムマブとの併用の安全性および忍容性プロファイルは、これまでに得られている結果と一貫していた。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohen氏は、「再発性または転移性HNSCCの予後は非常に悪く、このがん腫の新たな治療薬が早急に必要とされています。今回の結果は残念ですが、当社は引き続き、頭頸部がん患者さんのためのイミフィンジやその他の革新的医薬品の可能性を評価することに注力し続けていきます。
当社は、2019年上半期の化学療法による治療歴のない再発性または転移性HNSCC患者さんを対象とするイミフィンジとトレメリムマブの第III相KESTREL試験の結果に期待しています」と、述べている。

アストラゼネカは今後の国際学会において第III相EAGLE試験の結果を発表すべく準備を進めている。

イミフィンジによる進行頭頚部がんに対する治療は日本国内はまだ未承認である。また、トレメリムマブは日本国内未承認薬である。

イミフィンジについて

イミフィンジは、ヒトPD-L1に対するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合し、PD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し、抗腫瘍免疫反応を誘発する。

イミフィンジは、切除不能なステージIII 非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として米国、欧州および日本を含む40カ国以上において第III相PACIFIC試験に基づき承認されている。
また、イミフィンジは前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても米国、カナダ、ブラジル、イスラエル、インド、アラブ首長国連邦、オーストラリアおよび香港において承認されている。

広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、小細胞肺がん(SCLC)、膀胱がん、頭頸部がんならびにその他の固形がんの治療として、単剤療法ならびに、抗CTLA-4モノクローナル抗体であるトレメリムマブおよび新規薬剤との併用療法においても検討されている。

トレメリムマブについて

トレメリムマブは、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の活性を標的とする開発中の新薬候補であるヒトモノクローナル抗体である。

トレメリムマブはCTLA-4の作用を阻害し、T細胞の活性化に寄与し、がんに対する免疫反応を増強する。

トレメリムマブはイミフィンジとの併用療法で、NSCLC、SCLC、膀胱がん、HNSCC、肝臓がんおよび血液がんにおける広範な臨床試験プログラムにおいて検討中である。

(注1)EAGLE試験とは

EAGLE試験は腫瘍のPD-L1発現を問わず、白金製剤を用いた化学療法後に病勢進行が認められた再発性または転移性HNSCC患者を対象に、イミフィンジ単剤療法またはイミフィンジとトレメリムマブの併用療法を、標準化学療法と比較する多施設共同無作為化非盲検国際第III相試験を指す。

本試験は米国、欧州、南米、日本、韓国、台湾、イスラエルおよびオーストラリアを含む24カ国169施設において実施された。
本試験の主要評価項目はOSであり、副次評価項目には無増悪生存期間、一定時点での生存患者の割合、客観的奏効率および奏効期間が含まれた。

(注2)HNSCCとは

2018年に世界中で約88万人の患者が頭頸部がんと診断された。
頭頸部がんと診断された患者の3分の2は進行期(ステージIIIもしくはIV)にある一方、残りの3分の1は本疾患の早期段階(ステージIもしくはII)にある。
すべての頭頸部がんの90%以上は口、鼻および喉にある扁平上皮細胞に発症し、HNSCCと称される。

参照元:アストラゼネカ株式会社 ニュースリリース

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