この記事の3つのポイント
・非小細胞肺がん患者対象の腫瘍増大と前治療の関連性を検証したレトロスペクティブ試験
・前治療が抗PD-1/PD-L1抗体薬、単剤化学療法の2群に分けて比較検証した
・抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療を受けた患者の方が急激な腫瘍増大の発症率が高かった

2018年9月6日、医学誌『JAMA Oncology』にて急速な腫瘍増大(HPD:Hyperprogressive disease;以下HPD)を経験した18歳以上の進行性非小細胞肺がん患者を対象に、急速な腫瘍増大(HPD)の発症が前治療歴である抗PD-1/PD-L1抗体薬、または単剤化学療法により関連性があるのかどうかを検証した試験の結果がGustave Roussy・Roberto Ferrara氏らにより公表された。

なお、急速な腫瘍増大(HPD)とは治療開始前または治療中に測定された初回の腫瘍増大率(TGR)を基準に、その基準値よりも50%以上増大した場合を急速な腫瘍増大(HPD)として定義している。

本試験は、フランスの複数の医療機関にて2011年8月4日より2017年4月5日までに抗PD-1/PD-L1抗体薬(ニボルマブペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブなど)、または単剤化学療法(タキサン系、ペメトレキセド、ビノレルビン、またはゲムシタビンなど)による治療を受けた18歳以上の進行性非小細胞肺がん患者を対象に、抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療受けた群(N=406人)、または単剤化学療法による治療を受けた群(N=59人)に分け、主要評価項目として急速な腫瘍増大率(HPD)率を検証した多施設共同の試験である。

本試験が実施された背景としては、過去に実施された抗PD-1/PD-L1抗体薬関連の臨床試験において、抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療歴のある患者群における死亡、病勢進行などのイベントが抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療開始の早期で多く発生していたためである。そこで、本試験では死亡、病勢進行などのイベントと急速な腫瘍増大(HPD)の関係性を検証している。

本試験に登録された抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療歴のある患者の背景は下記の通りである。年齢は65歳以上の患者46.3%。性別は男性63.8%。肺がんの組織学的分類は非扁平上皮癌72.4%。抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療ステータスは二次治療以降の単剤療法が92.9%(N=377人)。フォローアップ期間中央値は12.1ヶ月(95%信頼区間:10.1-13.8ヶ月)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療受けた群における急速な腫瘍増大率(HPD)は13.8%(N=56人)であった。なお、単剤化学療法による治療受けた群における急速な腫瘍増大率(HPD)は5.1%(N=3人)であった。

そして、抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療後に急速な腫瘍増大(HPD)を経験した患者の中で転移個数が2個以上である患者割合は62.5%(N=35人)に対して急速な腫瘍増大(HPD)を経験しなかった患者は42.6%(N=149人)。急速な腫瘍増大(HPD)を経験した患者における転移個数2個以上の割合は統計学有意に高率であった(P=0.006)。

また、抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療開始より6週間以内に急速な腫瘍増大(HPD)を経験した患者群における全生存期間OS)中央値は3.4ヶ月(95%信頼区間:2.8-7.5ヶ月)に対して急速な腫瘍増大(HPD)を経験していない患者群は6.2ヶ月(95%信頼区間:5.3-7.9ヶ月)。抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療開始より6週間以内に急速な腫瘍増大(HPD)を経験した患者群では死亡のリスク(OS)が118%増加(95%信頼区間:1.29-3.69,P=0.003)した。

以上の試験の結果よりRoberto Ferrara氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者における急速な腫瘍増大(HPD)は単剤化学療法よりも抗PD-1/PD-L1抗体薬で発症率が高く、その発症率は転移個数が関係する可能性が本試験より示唆されました。また、抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療開始より6週間以内に急速な腫瘍増大(HPD)を経験した患者の予後は悪いことも同時に明らかになりました。”

Hyperprogressive Disease in Patients With Advanced Non–Small Cell Lung Cancer Treated With PD-1/PD-L1 Inhibitors or With Single-Agent Chemotherapy(JAMA Oncol. Published online September 6, 2018. doi:10.1001/jamaoncol.2018.3676)

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