再発難治性ホジキンリンパ腫小児または若年性患者に対する抗CD30抗体薬アドセトリス+ゲムシタビン併用療法、忍容性は問題なし医学誌『The Lancet Onclogy』より


  • [公開日]2018.08.31
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・小児・若年性のホジキンリンパ腫患者を対象にした第I/II相試験
アドセトリス+ゲムシタビン併用療法安全性有効性を検証した
忍容性が認められ、有効性についてはさらなる検証が必要

2018年8月16日、医学誌『The Lancet Onclogy』にて30歳以下の再発難治性ホジキンリンパ腫小児または若年性患者に対する抗CD30抗体薬であるブレンツキシマブベドチン(商品名アドセトリス;以下アドセトリス)+ゲムシタビン併用療法の安全性、有効性を検証した第I/II相試験(NCT01780662)の結果がRutgers Cancer Institute of New Jersey・Peter D Cole氏らにより公表された。

本試験は、アドセトリス治療歴のない30歳以下の再発難治性ホジキンリンパ腫小児または若年性患者(N=46人)に対して21日を1サイクルとして1日目にアドセトリス1.4mg/kgまたは1.8mg/kg+1日目、8日目にゲムシタビン1000g/m2併用療法を投与し、主要評価項目として第II相試験推奨用量(RPIID)、安全性、投与開始4サイクル以内の完全奏効(CR)率を検証した多施設共同単群の第II相試験である。

本試験が実施された背景として、再発難治性ホジキンリンパ腫のサルベージ療法として多くの治療レジメンが開発されているが、未だに標準治療が存在しない点が挙げられる。そこで、単剤または併用療法で有効性が確認されている抗CD30抗体薬アドセトリス、また基礎研究でアドセトリスとの併用効果が確認されているゲムシタビン、この両剤を併用した標準治療レジメンの開発が本試験で実施された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値17.6歳(15.3-18.6歳)。性別は男性47%(N=21人)、女性53%(N=24人)。人種は白人69%(N=31人)、黒人18%(N=8人)、その他13%(N=6人)。初回治療時点の臨床病期ステージIA、IIA、IIIAは42%(N=19人)、ステージIIB、IIIBは20%(N=9人)、IVA、IVBは38%(N=17人)。ステージ登録時ステータスは難治性64%(N=29人)、初回治療6ヶ月以内再発20%(N=9人)、初回治療6ヶ月以降のステージ3または4再発16%(N=7人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である第II相試験推奨用量(RPIID)は、21日を1サイクルとして1日目にアドセトリス1.8mg/kg+1日目、8日目にゲムシタビン1000g/m2に決定された。また、評価可能であった42人の患者の内24人で投与開始4サイクル以内の完全奏効(CR)率57%(95%信頼区間:41%-72%)を示した。

一方の安全性として、第II相試験推奨用量(RPIID)が投与された患者(N=42人)群において最も多く確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症36%(N=15人)、皮膚障害36%(N=15人)、トランスアミナーゼ上昇21%(N=9人)、痒み10%(N=4人)。なお、治療関連死亡は1人も確認されなかった。

以上の第I/II相試験の結果よりPeter D Cole氏ら以下のように結論を述べている。”本試験より30歳以下の再発難治性ホジキンリンパ腫患者に対してアドセトリス+ゲムシタビン併用療法は忍容性があることが示されました。なお、有効性に関してはランダム試験によりさらなる検証が必要になります。”

Brentuximab vedotin with gemcitabine for paediatric and young adult patients with relapsed or refractory Hodgkin’s lymphoma (AHOD1221): a Children’s Oncology Group, multicentre single-arm, phase 1–2 trial(The Lancet Onclogy, DOI:https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30426-1)

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