この記事の3つのポイント
・マクログロブリン血症に対するイムブルビカの有効な可能性
・イムブルビカは20%の患者でVGPR、63%でPRを示す
・MYD88遺伝子変異を有する患者に対する臨床試験結果

2018年7月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のMYD88遺伝子変異またはCXCR4遺伝子変異を有するワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;イムブルビカ)単剤療法有効性を検証した第II相試験(NCT02604511)の結果がDana Farber Cancer Institute・Steven P. Treon氏らにより公表された。

本試験は、未治療のMYD88遺伝子変異またはCXCR4遺伝子変異を有するワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者(N=30人)に対して1日1回イムブルビカ420mg単剤療法を投与し、主要評価項目として全奏効率ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、安全性などを検証した第II相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。なお、登録された30人の内MYD88遺伝子変異CXCR4遺伝子野生型患者は16人、MYD88遺伝子変異CXCR4遺伝子変異型患者は14人である。全患者群における年齢中央値は67歳(43-83歳)。性別は男性77%(N=23人)、女性23%(N=7人)。

予後予測の指標であるIPSSWMスコアはLowが17%(N=5人)、Intermediateが37%(N=11人)、Hignが47%(N=14人)。IgM蛋白血症中央値は4370mg/dL、IgA蛋白血症中央値は62mg/dL、IgG蛋白血症中央値は563mg/dL。ヘモグロビン値11g/dL未満67%(N=20人)、10g/dL未満33%(N=10人)。血小板数10万/μL未満7%(N=2人)。β2ミクログロブリン3mg/mL以上73%(N=22人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。IgM蛋白血症中央値は4370mg/dLから1513 mg/dL(P<0.001)まで減少し、ヘモグロビン値は10.3g/dLから13.9g/dLまで上昇し(P<0.001)、主要評価項目である全奏効率(ORR)は100%(N=30人)を示し、その内訳は最良部分奏効(VGPR)20%(N=6人)、部分奏効(PR)63%(N=19人)、最小奏効(MR)17%(N=5人)であった。なお、完全奏効(CR)を達成した患者は1人も確認されなかった。

また、CXCR4遺伝子野生型患者(N=16人)とCXCR4遺伝子変異型患者(N=14人)における全奏効率(ORR)の内訳としては、最良部分奏効(VGPR)がCXCR4遺伝子野生型31%に対して変異型7%、部分奏効(PR)がCXCR4遺伝子野生型63%に対して変異型64%であり、CXCR4遺伝子野生型の方が奏効が深かった。

一方の安全性としては、5%以上の患者で確認されたグレード2または3の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。高血圧13%、心房細動10%、関節痛7%、打撲7%、、好中球減少7%、上気道感染7%、尿路感染7%である。また、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は1人も確認されなかった。

以上の第II相試験の結果よりSteven P. Treon氏らは以下のように結論を述べている。”ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対するBTK阻害薬であるイムブルビカ単剤療法は高く、持続的な抗腫瘍効果を示し、安全性も良好でした。また、CXCR4遺伝子ステータスはイムブルビカの有効性に対して影響を与えることが示されました。”

Ibrutinib Monotherapy in Symptomatic, Treatment-Naïve Patients With Waldenström Macroglobulinemia(DOI: 10.1200/JCO.2018.78.6426 Journal of Clinical Oncology – published online before print July 25, 2018)

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