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肝細胞がん ネクサバール後の二次治療でキイトルーダが単剤奏効率18%、病勢コントロールは62%

[公開日] 2018.06.27[最終更新日] 2018.06.27

免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)が、ソラフェニブ(商品名ネクサバール)既治療の肝細胞がんに対する単剤二次治療の選択肢となる可能性を示した。近畿大学Kudo Masatoshi氏らの研究グループが実施した第2相試験(KENOTE-224、NCT02702414)の中間結果で、2018年6月3日のLancet Oncology誌オンライン版に論文が掲載された。 KENOTE-224試験は、米国、カナダやオーストラリア、欧州、日本など10カ国、47施設で行われた非無作為化非盲検試験で、2016年6月7日から2017年2月9日、ネクサバールの治療歴がある肝細胞がん患者104例が登録された。80%の患者はネクサバールが無効で、20%の患者はネクサバールが不耐容であった。データカットオフは2018年2月13日で、その時点で17例(16%)はキイトルーダの治療を継続していた。有効性と安全性のデータ解析により、キイトルーダは肝細胞がんに対するネクサバール後の治療選択肢になり得ることが示唆され、さらに、同じ抗PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)の肝細胞がん患者に対する同様の試験結果と一致した。PD-L1のバイオマーカーの位置付けについては今後も検証が必要である。現在キイトルーダは、本結果に基づき、肝細胞がん対象の第3相試験が2本実施されている。 同試験でのキイトルーダの用法用量は、非小細胞肺がんなどの適応で既に承認されている200mgの3週間隔の点滴静注であった。主要評価項目であるRECIST判定奏効率は17%(18/104例)で、そのうち完全奏効(CR)は1例、部分奏効(PR)は17例であった。さらに、病勢安定(SD)が44%(46/104例)で、これを合わせた病勢コントロール率は62%(64/104例)であった。奏効到達期間の中央値は2.1カ月と効果が速やかに認められ、奏効18例のうち12例(67%)が治療開始後8週から10週以内に奏効に達した。奏効持続期間は、カットオフ時点で中央値特定には至らなかったが、奏効持続時間が9カ月以上に達する患者の割合は、カプラン-マイヤー法で77%と算出された。 カットオフ時点で81%(84/104例)が死亡、または病勢進行(PD)と判定され、PDまでの期間中央値は4.9カ月、無増悪生存(PFS)期間中央値は4.9カ月で、全生存期間(OS)中央値は12.9カ月、死亡例は60例(58%)であった。治療開始後12カ月時点でのPFS率は28%、全生存率は54%であった。 グレード3の治療関連有害事象は24%(25/104例)に認められ、主に肝酵素のAST上昇(7%)、ALT上昇(4%)、および疲労感(4%)であった。グレード4は高ビリルビン血症(1%)のみであった。免疫関連有害事象として、肝炎が3例(3%)に認められたが、肝炎ウイルスのフレアは認められなかった。治療関連死は1例のみで、死因は潰瘍性食道炎であった。 バイオマーカーPD-L1の探索的解析集団での有効性も全解析対象と同程度(奏効率25%[13/52例])であった。PD-L1陽性指標として、腫瘍細胞、リンパ球、およびマクロファージのPD-L1陽性細胞を合わせた数の全腫瘍細胞に対する割合で表した陽性複合スコアが1以上の陽性集団の奏効率(32%[7/22例])は、同スコア1未満集団の奏効率(20%[6/30例])より高かった。また、PD-L1陽性指標として腫瘍細胞膜染色の割合で表したスコアが1%以上の陽性集団の奏効率(43%[3/7例])も、同スコア1%未満集団の奏効率(22%[10/45例])より高かった。
ニュース 肝臓がん 免疫チェックポイント阻害薬

医療ライター 川又 総江

国内製薬企業研究所研究員、大学医学部研究室助手を経てフリーのメディカルライターに転身。医薬・バイオ関連出版社等の文献翻訳、医療記事作成を執筆すること20年。

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