ドセタキセル不応の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ、PD-L1発現率の有無に関係なく抗腫瘍効果を示す米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.06.26
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・KEYNOTE-199試験とは、ドセタキセル不応の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対して抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法の有効性を検証した第II相試験である
・本報告では、KEYNOTE-199試験に登録された患者の内、PD-L1発現率陽性の患者(コーホート1)、PD-L1発現率陰性の患者(コーホート2)、骨転移を有する患者(コーホート3)を対象にした結果である
・本試験の主要評価項目である客観的奏効率ORR)はコーホート1群で5%、コーホート2群で3%、コーホート3群で未到達、コーホート1+コーホート2群で5%であった

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、ドセタキセル不応の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証した第II相のKEYNOTE-199試験(NCT02787005)の結果がRoyal Marsden Hospital・Johann S. De Bono氏らにより公表された。

KEYNOTE-199試験(コーホート1、コーホート2、コーホート3)とは、ドセタキセル不応の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者(N=258人)に対して3週間に1回キイトルーダ200mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、重要な副次評価項目として病勢コントロール率DCR)などを検証した第II相試験である。

なお、ドセタキセル不応の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者の内、コーホート1群ではPD-L1発現率陽性の患者(N=131人)、コーホート2群ではPD-L1発現率陰性の患者(N=67人)、コーホート3群では骨転移を有する患者(N=60人)を対象にしている。

本試験のコーホート別のフォローアップ期間中央値8.1ヶ月(コーホート1)、7.9ヶ月(コーホート2)、11.8ヶ月(コーホート3)時点の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はコーホート1群で5%(95%信頼区間:2%-11%)、コーホート2群で3%(95%信頼区間:1%未満-10%)、コーホート3群で未到達、コーホート1+コーホート2群で5%(95%信頼区間:2%-8%)であった。

なお、奏効率(RR)は全患者群の中でも体細胞系BRCA1/2遺伝子変異またはATM遺伝子変異を有する患者において高率であった。

また、病勢コントロール率(DCR)はコーホート1群で22%(95%信頼区間:15%-30%)、コーホート2群で24%(95%信頼区間:14%-36%)、コーホート3群で37%(95%信頼区間:25%-50%)、コーホート1+コーホート2群で23%(95%信頼区間:17%-29%)であった。

そして、6ヶ月以上病勢コントロール率(DCR)を達成した患者はコーホート1群で9%(95%信頼区間:5%-16%)、コーホート2群で6%(95%信頼区間:2%-15%)、コーホート3群で22%(95%信頼区間:12%-34%)、コーホート1+コーホート2群で8%(95%信頼区間:5%-13%)であった。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はコーホート1群で13%、コーホート2群で12%、コーホート3群で17%を示した。

以上のKEYNOTE-199試験の結果よりJohann S. De Bono氏らは以下のように結論を述べている。”ドセタキセル不応の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法はPD-L1発現率の有無に関係なく持続的な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした。”

KEYNOTE-199: Pembrolizumab (pembro) for docetaxel-refractory metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC).(ASCO 2018, Abstract No.5007)

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