局所進行頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗EGFR抗体薬ニモツズマブ+化学放射線療法、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長する米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.06.15
  • [最終更新日]2019.02.22
この記事の3つのポイント
・本試験はステージIIIまたはIV頭頸部扁平上皮がん患者に対して抗EGFR抗体薬ニモツズマブ+化学放射線療法の標準化学放射線療法に対する有効性を比較検証した第III相試験である
・本試験の主要評価項目である無増悪生存期間PFS中央値はニモツズマブ群60.3ヶ月に対して標準化学放射線療法群21ヶ月、ニモツズマブ群で無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長した。
・本試験の副次評価項目である局所病勢コントロール期間(LRC)、無病生存期間DFS)のそれぞれが改善、全生存期間OS)も改善傾向を示した

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、局所進行頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗EGFR抗体薬であるニモツズマブ(nimotuzumab)+化学放射線療法の標準化学放射線療法に対する有効性を比較検証した第III相試験(CTRI/2014/09/004980)の結果がTata Memorial Centre・Vijay Maruti Patil氏らにより公表された。

本試験は、18歳以上のKarnofsky Performance Statusスコア70以上のステージIIIまたはIV頭頸部扁平上皮がん患者(N=536人)に対して1週1回ニモツズマブ200mg+1週1回シスプラチン30mg/m2+放射線治療66~70Gy併用療法を投与する群、または1週1回シスプラチン30mg/m2+放射線治療66~70Gy併用療法を投与する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として局所病勢コントロール期間(LRC)、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)などを比較検証した第III相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値33.0ヶ月(95%信頼区間:30.7-35.2ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はニモツズマブ群60.3ヶ月(95%信頼区間:29.4ヶ月-未到達)に対して標準化学放射線療法群21ヶ月(95%信頼区間:15.1ヶ月-未到達)、ニモツズマブ群で無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長した(P=0.023)。

なお、2年無増悪生存率PFS rate)はニモツズマブ群58.9%に対して標準化学放射線療法群49.5%、 ニモツズマブ群で2年以内の病勢進行または死亡のリスクを26%統計学的有意に減少した(ハザード比:0.74;95%信頼区間;0.56-0.95;P=0.022)。

また、ニモツズマブ投与により副次評価項目である局所病勢コントロール期間(LRC)、無病生存期間(DFS)のそれぞれが改善、全生存期間(OS)も改善傾向を示した(局所病勢コントロール期間;ハザード比:0.75;95%信頼区間;0.57-0.97;P=0.030、無病生存期間;ハザード比:0.75;95%信頼区間;0.57-0.97;P=0.030、全生存期間;ハザード比:0.85;95%信頼区間;0.65-1.10;P=0.222)。

一方の安全性として、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)はニモツズマブ群、標準化学放射線療法群の両群間において粘膜炎(ニモツズマブ群66.7%:標準化学放射線療法群55.8%;p=0.010)以外の発症率に大きな差はなかった。

以上の第III相試験の結果よりVijay Maruti Patil氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗EGFR抗体薬であるニモツズマブ+化学放射線療法は標準化学放射線療法よりも無増悪生存期間(PFS)、局所病勢コントロール期間(LRC)、無病生存期間(DFS)のそれぞれを改善しました。”

Results of a randomized phase III study of nimotuzumab in combination with concurrent radiotherapy and cisplatin versus radiotherapy and cisplatin alone, in locally advanced squamous cell carcinoma of the head and neck.(ASCO 2018, Abstract No.6000)

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