この記事の3つのポイント
転移性腎細胞がん患者に対して、腎摘出後にスニチニブを使用した場合と腎摘出せずにスニチニブを使用した場合の非劣勢を比較する第3相臨床試験結果が、米国臨床腫瘍学会のプレナリー演題に選出
・転移性腎細胞がんは、予後予測分類で低リスクから中リスクと判定された転移性腎細胞がん患者の場合は、必ずしも腎摘除術ありきではないという結果であった。
・著者曰く、「本結果は、腎摘除術の要不要という単純な判断を促すものではなく、患者個別の状態に応じた治療法を決定することはいうまでもない」

転移性腎細胞がんは、腎摘除術が20年ほど前から標準治療として広く定着しているが、予後予測分類で低リスクから中リスクと判定された転移性腎細胞がん患者の場合は、必ずしも腎摘除術ありきではないとする試験成績が発表された。フランスDescartes UniversityのArnaud Mejean氏らが2018年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のLBA(Late Breaking Abstract)枠で発表した第3相試験(CARMENA、NCT00930033)の中間解析結果で、腎摘除術を行わずに分子標的薬であるスニチニブ(商品名スーテント)の治療を開始した群(スニチニブ単独群)は腎摘除術後からスニチニブの治療を開始した群(腎摘→スニチニブ群)と比べ、全生存期間OS中央値に有意差はなく、統計学的な非劣性が検証された。2018年6月3日、New England Journal of Medicineオンライン版に論文が掲載された。

CARMENA試験は無作為化非盲検試験で、2009年9月から2017年9月までに、フランスや英国、ノルウェーなどから予後予測分類MSKCC(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)の中リスク、または低リスクの明細胞型転移性腎細胞がん患者450例が登録された。スニチニブ単独群、または腎摘→スニチニブ群に1:1に割り付け、スニチニブは1サイクル6週間として1日50mgを28日間経口投与後14日間休薬した。主要評価項目は全生存期間(OS)中央値であった。

その結果、中間解析までの追跡期間中央値50.9カ月における死亡例は326例であった。OS中央値は、スニチニブ単独群(18.4カ月)が腎摘→スニチニブ群(13.9カ月)より長く、ハザード比HR=0.89)信頼区間の統計学的規定に基づき、スニチニブ単独群は腎摘→スニチニブ群より劣らないことが証明された。無増悪生存期間PFS)、奏効率など他の有効性評価項目も群間差は認められなかった。

スニチニブは実用化されてから実績があり、安全性は十分に検証されている。実際、スニチニブ単独群、腎摘→スニチニブ群のいずれにおいても特筆すべき安全性の問題は認められなかった。

CARMENA試験の結果は、腎摘除術の要不要という単純な判断を促すものではなく、患者個別の状態に応じた治療法を決定することはいうまでもない。腎摘除術は、全身状態が良好で転移巣のがんが限局的な患者の場合は、原発巣の腫瘍量を減らすのに大きく貢献する。当然、全身状態が思わしくない患者には推奨されていない。腎摘除術を回避することで得られる有益性は、効果が期待できる薬物による全身療法を早期から開始できることである。手術に伴って必要とされ得る輸血や集中治療、その他手術に関連する合併症が引き起こされれば、薬物による全身療法の開始を遅らせなければならない。

現在、予後予測分類が低リスクから中リスクの転移性腎細胞がん患者には、主にスニチニブ、またはパゾパニブ(商品名ヴォトリエント)が全身薬物療法として推奨されている。中リスクから高リスクの患者に対する薬物療法としては、c-MET阻害薬のカボザンチニブ(海外商品名Cabometyx)、ニボルマブ(商品名オプジーボ)やイピリムマブ(商品名ヤーボイ)など免疫チェックポイント阻害薬の方がスニチニブよりすぐれた効果を発揮したとの報告もある。

Sunitinib Alone or after Nephrectomy in Metastatic Renal-Cell Carcinoma(N Engl J Med. 2018 Jun 3)

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