5月31日、第一三共株式会社は、HER2過剰発現またはHER2変異のある再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象としたDS-8201(HER2抗体とトポイソメラーゼ1阻害薬DXd)の抗体薬物複合体(ADC))の第2相臨床試験NCT03505710)を開始したと発表しました。

HER2は非小細胞肺がんの4~35%に過剰発現し、HER2過剰発現は予後不良と全生存期間の短さに関与していると報告されていまる。またHER2変異は、最近になり、従来のHER2過剰発現とは異なる特徴を持つ標的として特定され、非小細胞肺がんの最大5%に見られると報告されている。更に、胃がんのようにEGFR発現とHER2発現は相互排他的にはならず、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬耐性の獲得に寄与する可能性が示唆されており、EGFR T790M変異陰性非小細胞肺がん患者においても、HER2過剰発現または変異が認められる可能性がある。

しかしながら、現在、HER2過剰発現またはHER2変異のある非小細胞肺がんの治療において、承認されている抗HER2療法はない。

本試験は、前治療を受けたHER2過剰発現またはHER2変異のある再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象とした第2相臨床試験で、本剤の有効性安全性を評価する。主要評価項目は全奏効率、日米欧において約80名の患者を登録する予定とのこと。

試験概要(JAPIC-CTIより)

試験の名称

非小細胞肺癌患者を対象としたTrastuzumab Deruxtecan (DS-8201a)の第II相試験

試験の概要

治験は、HER2の過剰発現又は変異を認める切除不能及び/又は転移性の非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象として、DS-8201aの抗腫瘍効果を検討する、多施設共同非盲検2コホートの第II相試験である。

対象疾患

HER2の過剰発現又は変異を認める切除不能及び/又は転移性の非扁平上皮非小細胞肺癌

適格基準

1. 年齢20歳以上
2. 病理診断により切除不能及び/又は転移性の非扁平上皮非小細胞肺癌であることが確認されている。
3. 標準的治療法に不応又は不耐となった、もしくは標準的治療法がない。
4. コホート1のみ: 腫瘍保存検体において、HER2過剰発現 (IHC 2+又は3+)の状態が確認・評価されている。
5. コホート2のみ:腫瘍保存検体から、活性化HER2変異を既に有することが報告されている。
6. RECIST ver. 1.1に基づく治験責任医師の判定による測定可能病変を少なくとも1つ有する。
7. 十分な量の腫瘍保存検体を提供する意思と能力がある。
8. 直近の治療レジメン完了後に組織生検を受ける意思がある。

除外基準

1. 抗HER2療法(pan-HERクラスのチロシンキナーゼ阻害剤を除く)による治療歴がある。
2. コホート1のみ:HER2変異を既に有することが確認されている。
3. 登録前28日以内の症候性うっ血性心不全(NYHA分類クラスII~IV)の既往歴や、不安定狭心症又は重篤な不整脈の既往歴を有する。
4. QTc間隔> 450 ms(男性)、> 470 ms(女性)の患者。
5. 臨床的に重要な肺疾患の既往歴を有する。

リンク

www.clinicaltrials.jp/user/search/directCteDetail.jsp?clinicalTrialId=20676

文:可知 健太

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