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オプジーボなど免疫チェックポイント阻害薬による治療効果は性別により異なる可能性がメタアナリシス試験より示唆される

[公開日] 2018.05.25[最終更新日] 2018.05.25

この記事の3つのポイント ・免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた男性における全生存期間(OS)のハザード比は群0.72、免疫チェックポイント阻害薬非投与群に比べて死亡のリスクを28%減少した ・免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた女性における全生存期間(OS)のハザード比は群0.86、免疫チェックポイント阻害薬非投与群に比べて死亡のリスクを14%減少した ・免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた患者における全生存期間(OS)のハザード比は、男性群0.85、女性群に比べて男性群で死亡のリスクを15%減少した
2018年5月16日、医学誌『THE LANCET Oncology』にてニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)、イピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)など免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた患者の性別による有効性の違いを検証したメタアナリシス試験の結果がEuropean Institute of Oncology・Fabio Conforti氏らにより公表された。 本試験は、PubMed、MEDLINE、Embase、Scopusに公開されているオプジーボ、ペムブロリスマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)などの抗PD-1抗体薬単剤、ヤーボイ、トレメリマブなどの抗CTLA-4抗体薬単剤、抗PD-1抗体薬+抗CTLA-4抗体薬併用の20の無作為化試験に登録された患者(N=11,351人)を対象に、主要評価項目である性別の違いによる全生存期間(OS)のハザード比を比較検証したメタアナリシス試験の結果である。 本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は56歳から66歳。性別は男性67%(N=7646人)、女性33%(N=3705人)。がん種は悪性黒色腫(メラノーマ)32%(N=3632人)、非小細胞肺がん31%(N=3483人)。 また、20の無作為化試験の内訳はオプジーボ単剤療法8つ(N=3893人)、キイトルーダ単剤療法は5つ(N=3209人)、ヤーボイ単剤療法は4つ(N=2881人)、トレメリマブ単剤療法は2つ(N=1226人)、オプジーボ+ヤーボイ併用療法は1つ(N=142人)。臨床試験のフェーズはフェーズII試験2つ、フェーズIII試験17、フェーズII/III試験1つ。がん種は悪性黒色腫(メラノーマ)の試験7つ、非小細胞肺がんの試験6つ、頭頚部がんの試験2つ、小細胞肺がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、胃がん、中皮腫の試験がそれぞれ1つである。 上記背景を有する患者に対する本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)のハザード比を比較は下記の通りである。男性における全生存期間(OS)のハザード比は免疫チェックポイント阻害薬投与群0.72(95%信頼区間0.65-0.79)、免疫チェックポイント阻害薬非投与群に比べて死亡のリスクを28%減少した。 また、女性における全生存期間(OS)のハザード比は免疫チェックポイント阻害薬投与群0.86(95%信頼区間0.79-0.93)、免疫チェックポイント阻害薬非投与群に比べて死亡のリスクを14%減少した。 そして、免疫チェックポイント阻害薬投与群における全生存期間(OS)のハザード比は、男性群0.85(95%信頼区間:0.77-0.94)、女性群に比べて男性群で死亡のリスクを15%減少した(P=0.0019)。 以上のメタアナリシスの結果よりFabio Conforti氏らは以下のように結論を述べている。”悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がんをはじめ進行性固形がんに対する免疫チェックポイント阻害薬は全生存期間(OS)のハザード比を改善します。しかし、この有効性は性別により異なる可能性が本試験より示唆されました。そのため、女性患者において免疫チェックポイント阻害薬を投与する場合、有効性を保証できる方法を今後は探索していく必要があります。” Cancer immunotherapy efficacy and patients' sex: a systematic review and meta-analysis(THE LANCET Oncology, DOI: https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30261-4)
ニュース 肺がん トレメリマブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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