進行期ホジキンリンパ腫に対するABVD療法後の治療、治療中間PET評価の結果次第でBEACOPP療法も有望である医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』より


  • [公開日]2018.03.13
  • [最終更新日]2018.03.13

2018年1月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にて進行期ホジキンリンパ腫患者に対するABVD療法(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)2サイクル後にPET検査を実施し、PET陽性患者に対してはBEACOPP療法(ブレオマイシン+エトポシド+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+プレドニゾン)、PET陰性患者に対してはABVD療法を継続したリスク別治療の有効性を検証した試験の結果がAntoine Lacassagne Cancer Center・Andrea Gallamini氏より公表された。

本試験は、ステージIIIBまたはIVB期ホジキンリンパ腫患者(N=782人)に対してABVD療法2サイクル投与後、five-point scale Deauville criteriaを基準にした治療中間PET評価を実施し、PET陽性患者に対してBEACOPP療法±リツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)併用療法4サイクル後にBEACOPP療法4サイクルを投与する群(N=150人)、PET陽性患者に対してABVD療法を継続する群(N=630人)に分け、主要評価項目である3年無増悪生存率PFS)を比較検証した試験である。

なおABVD療法を継続する群においては、5cm以上の巨大な腫瘤を有する患者に対して化学療法終了時点で放射線療法を追加する群、または追加しない群に無作為に振り分けている。

本試験の結果、主要評価項目である3年無増悪生存率(PFS)はBEACOPP療法による治療を受けたPET陽性群60%に対してABVD療法による治療を受けたPET陰性群87%を示し(P < .001)、全患者群においては82%を示した。

また、副次評価項目である3年全生存率(OS)はBEACOPP療法による治療を受けたPET陽性群89%に対してABVD療法による治療を受けたPET陰性群99%を示し、全患者群においては97%を示した。

BEACOPP療法による治療を受けたPET陽性群の中でリツキサン併用有無別の3年無増悪生存期間(PFS)についても検証しており、リツキサン併用群63%に対してリツキサン非併用群57%(P = .53)を示した。

また、ABVD療法による治療を受けたPET陰性群の中で放射線療法の有無別の3年無増悪生存期間(PFS)についても検証しており、放射線療法追加群97%に対して放射線療法非追加群93%(P = .29)を示した。

以上の試験の結果より、Andrea Gallamini氏らは以下のように結論を述べている。”PET効果判定に基づきステージIIIBまたはIVB期ホジキンリンパ腫患者の治療を選択する方法は有効性があり、臨床で実現可能性が高いことが本試験より証明されました。”

Early Chemotherapy Intensification With Escalated BEACOPP in Patients With Advanced-Stage Hodgkin Lymphoma With a Positive Interim Positron Emission Tomography/Computed Tomography Scan After Two ABVD Cycles: Long-Term Results of the GITIL/FIL HD 0607 Trial(DOI: 10.1200/JCO.2017.75.2543 Journal of Clinical Oncology 36, no. 5 (February 2018) 454-462.)

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