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ステージIII期上皮性卵巣がんに対して腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで無再発生存期間(RFS)改善

[公開日] 2018.02.02[最終更新日] 2018.02.02

2018年1月18日、医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて術前補助化学療法を受けているステージIII期上皮性卵巣がん患者に対して中間期腫瘍減量手術に腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することの有効性を検証するための第III相試験(NCT00426257)の結果がNetherlands Cancer Institute・Willemien J. van Driel氏らにより公表された。 本試験は、術前補助化学療法としてカルボプラチン+パクリタキセル併用療法を3サイクル投与し、病勢安定(SD)を示した患者に対してシスプラチンによる腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加する群と、腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加しない群に無作為に振り分け、主要評価項目として無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を検証したオープンラベルの第III相試験である。なお、術後化学療法としてカルボプラチン+パクリタキセル併用療法を3サイクル追加で投与している。 本試験の結果、無再発生存率(RFS)は腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加する群122例中99 例(81%)、腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加しない群123例中110 例(89%)を示した(ハザード比:0.66,95%信頼区間:0.50~0.87,P=0.003)。また、無再発生存期間(RFS)中央値は腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加する群14.2ヶ月、腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加しない群10.7ヶ月を示した。 また、副次評価項目であるフォローアップ期間中央値4.7年の時点における全生存期率(OS)は腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加する群61例(50%)、腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加しない群76 例(62%)を示した(ハザード比:0.67,95%信頼区間:0.48~0.94,P=0.02)。また、全生存期間(OS)中央値は腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加する群45.7ヶ月、腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加しない群33.9ヶ月を示した。 一方の安全性としては、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加する群27%、腹腔内温熱化学療法(HIPEC)追加しない群25%(P=0.76)を示し、両群間で同等であった。 以上の第III相試験の結果よりWillemien J. van Driel氏らは以下のように結論を述べている。”ステージIII期上皮性卵巣がん患者さんに対して中間期腫瘍減量手術に腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで無再発生存期間(RFS)も全生存期間(OS)も改善し、かつ治療関連有害事象(TRAE)発現率が上昇しませんでした。” Hyperthermic Intraperitoneal Chemotherapy in Ovarian Cancer(N Engl J Med 2018; 378:230-240 DOI: 10.1056/NEJMoa1708618)
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山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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