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標準治療の適応がない転移性大腸がんに対するテセントリク+コビメチニブ併用療法、マイクロサテライト不安定性状態により奏効率が異なる
[公開日] 2018.01.23[最終更新日] 2018.01.23
2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のオーラルセッションにて、標準治療の適応のない転移性大腸がんに対するアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+MEK阻害剤であるコビメチニブ併用療法の安全性、有効性を検証した第Ib相試験(NCT01988896)の結果がTennessee Oncology・Johanna C. Bendell氏らにより公表された。
本試験は、標準治療の適応がない進行性または転移性固形がん患者に対して2週間に1回の投与間隔でテセントリク800 mg+1日1回コビメチニブ20mg〜60mg併用療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、最大耐量(MTD)など、副次評価項目として有害事象(AE)発症率、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)などを検証したオープンラベルの第Ib相試験である。なお、オーラルセッションでは本試験に登録された固形がん患者のうち84人の大腸がん患者における結果が公表されている。
本試験に登録された84人の大腸がん患者の背景は、KRAS遺伝子変異型57人、KRAS遺伝子野生型25人、KRAS遺伝子不明2人である。また、マイクロサテライト不安定性(MSI;以下MSI)の状態としてはMSIの高い(MSI-H;以下MSI-H)患者1人、MSIの低い(MSI-low;以下MSI-low)患者8人、MSIのない (MSS;以下MSS) 患者29人である。そして、66人の患者が前治療として5レジメン以上の治療歴を有していた。
上記のような背景を有する患者に対してテセントリク+コビメチニブ併用療法を投与したフォローアップ期間中央値14.3ヶ月時点における結果、副次評価項目であるグレード1または2の治療関連有害事象(TRAE)は60%、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は37%の患者で確認された。また、最も一般的に確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は血中クレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)の増加、皮膚障害、下痢、疲労であった。
また、その他副次評価項目として客観的奏効率(ORR)としては7人の患者で部分奏効(PR)を示し、その患者の内訳としてはMSI-low1人、MSS3人、MSS不明3人であった。奏効持続期間(DOR)中央値14.8ヶ月(95%信頼区間:6.0-未到達)、奏効率が部分奏効(PR)+安定(SD)である状態と定義された病勢コントロール率31%、無増悪生存期間(PFS)中央値1.9ヶ月(95%信頼区間:1.8-2.3)、全生存期間(OS)中央値10.0ヶ月(95%信頼区間:6.2-14.1)をそれぞれ示した。
以上の第Ib相試験の結果より、Johanna C. Bendell氏らは以下のように述べている。”標準治療の適応のない転移性大腸がんに対するテセントリク+コビメチニブ併用療法は忍容性を示し、全生存期間(OS)をはじめ良好な結果を示しました。また、MSI-lowまたはMSSの患者における客観的奏効(ORR)は持続することからも、標準治療の適応のない患者に対するテセントリク+コビメチニブ併用療法は新しい治療選択肢になり得ることが示されました。”
A phase Ib study of safety and clinical activity of atezolizumab (A) and cobimetinib (C) in patients (pts) with metastatic colorectal cancer (mCRC).(ASCO-GI2018,Abstract No.560)
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