2017年12月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にて転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するアビラテロン(商品名ザイティガ;以下ザイティガ)+プレドニゾン+ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるベリパリブ併用療法有効性を検証した第II相のNCI9012試験(NCT01576172)の結果がNorthwestern Medical GroupのMaha Hussain氏らより公表された。

本試験は、転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者(N=148人)に対してザイティガ+プレドニゾン併用療法を投与する群(N=72人)、またはザイティガ+プレドニゾン+ベリパリブ併用療法を投与する群(N=76人)に無作為に振り分け、主要評価項目としてPSA奏効率、ETS融合遺伝子陽性奏効率を比較検証した国際多施設共同の第II相試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるPSA奏効率はザイティガ+プレドニゾン併用療法群63.9%、ザイティガ+プレドニゾン+ベリパリブ併用療法群72.4%を示した(P=0.27)。また、測定可能病変を持つ患者における奏効率はそれぞれ45.0%、52.2%を示し(P=0.51)、無増悪生存期間PFS中央値は10.1ヶ月に対して11.0ヶ月を示した(P=0.99)。

また、ETS融合遺伝子陽性割合はザイティガ+プレドニゾン併用療法群35.0%、ザイティガ+プレドニゾン+ベリパリブ併用療法群34.0%であるが、PSA、測定可能病変患者における奏効率、無増悪生存期間(PFS)を予測する指標にETS融合遺伝子陽性はならないことが示された。

ETS融合遺伝子以外の効果予測因子を検証するためETS融合遺伝子陽性率51%の患者(N=80人) を対象にバイオマーカー探索的検証についても本試験では実施している。

その結果、25%の患者でDNA損傷修復機能に異常、51%の患者でアンドロゲン受容体増幅、43%の患者でPTEN遺伝子変異、41%の患者でTP53遺伝子変異、49%の患者でPIK3CA経路の活性化、15%の患者でWNTシグナル経路の変更を示した。

そして、DNA損傷修復機能に異常を来した患者は異常を来していない患者に比べてPSA奏効率が56.7%に対して90%と有意に高率であり、測定可能病変患者における奏効率も38.6%に対して87.5%と有意に高率であり、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.1ヶ月に対して14.5ヶ月と延長することを示した。

一方で、PTEN遺伝子変異、TP53遺伝子変異、PIK3CA経路活性化の患者はそうでない患者に比べて無増悪生存期間(PFS)中央値は短縮傾向を示したことが判った。

以上の第II相試験の結果より、Maha Hussain氏らは以下のような結論を述べている。”去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するPARP阻害薬であるベリパリブの上乗せ効果は本試験では確認できませんでした。また、ETS融合遺伝子患者においてもその結果は同様です。しかし、探索的解析の結果より効果予測因子としてDNA損傷修復機能の異常が新たに特定されました。

Abiraterone + prednisone (Abi) +/- veliparib (Vel) for patients (pts) with metastatic castration-resistant prostate cancer (CRPC): NCI 9012 updated clinical and genomics data. (Journal of Clinical Oncology 35, no. 15_suppl (May 2017) 5001-5001.)

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