2017年 がん分野薬剤は16申請、23承認(新規承認・適応追加)2017年がん情報まとめ


  • [公開日]2018.01.10
  • [最終更新日]2018.01.23

2017年、がん分野の薬剤は新たに16申請がなされ、23承認がなされた。

特に目を引くのは免疫チェックポイント阻害薬であり、ニボルマブオプジーボ)、ペムブロリズマブキイトルーダ)、アベルマブバベンチオ)および間もなく承認されるであろうアテゾリズマブテセントリク)の4剤で8つの適応を取得となる。中でも2017年2月に発売されたキイトルーダは、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮がんと4つの適応を取得している。

その他にも、新規プロテアソーム阻害薬イキサゾミブニンラーロ)、CDK4/6阻害薬パルボシクリブ(イブランス)および間もなく承認されるであろうPARP阻害薬オラパリブ(リムパーザ)などが注目される。

一方、2017年に承認申請した薬剤が2017年中に承認された薬剤は、メルケル細胞がん適応のバベンチオ、尿路上皮がん適応のキイトルーダ、小児慢性骨髄性白血病適応のニロチニブ(タシグナ)の3剤である。また、12月に第二部会を通過している非小細胞肺がん適応のテセントリクや卵巣がん適応のリムパーザを合わせると5剤におよぶ。

上記以外に2017年に承認申請された薬剤としては、前駆B細胞性急性リンパ性白血病薬剤イノツズマブ オゾガマイシンベスポンサ)などの新薬の他、2017年の米国臨床腫瘍学会にてプレナリー演題に選ばれたBRCA変異陽性乳がん適応のリムパーザやホルモン療法未治療転移性前立腺がん適応アビラテロン(ザイティガ)の2018年承認または適応追加が期待される。

2017年に適応追加・発売された薬剤

2017年に適応追加や発売された薬剤は以下のとおりである。

2017/2/15発売
ペムブロリズマブ(キイトルーダ):根治切除不能な悪性黒色腫
ペムブロリズマブ(キイトルーダ):PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん

2017/3/2適応追加
レナリドミドレブラミド):再発または難治性の成人T細胞白血病リンパ腫

2017/3/24適応追加
ニボルマブ(オプジーボ):再発または遠隔転移を有する頭頸部がん

2017/5/17発売
アフリベルセプトザルトラップ):治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん

2017/5/18適応追加
クリゾチニブザーコリ):ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
カルフィルゾミブカイプロリス):再発か難治性の多発性骨髄腫(デキサメタゾン、レナリドミドとの3剤併用療法での承認だったのをデキサメタゾンとの2剤併用療法)

2017/5/24発売
フォロデシンムンデシン):再発又は難治性の末梢性 T 細胞リンパ腫
イキサゾミブ(ニンラーロ):再発または難治性の多発性骨髄腫

2017/6/26適応追加
レゴラフェニブスチバーガ):がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん

2017/7/3適応追加
ランレオチド(ソマチュリン):膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)

2017/8/30発売
プララトレキサートジフォルタ):再発又は難治性の末梢性 T 細胞リンパ腫

2017/7/3承認(未発売)
ロミデプシン(イストダックス):再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫
※8月、11月の中医協でも収載見送り(薬価の折り合いつかず)で未発売

2017/8/25用法容量追加
nab-パクリタキセルアブラキサン):胃がん(従来の3週間に1回投与に加え、週1回投与が可能)

2017/9/22適応追加
ニボルマブ(オプジーボ):治癒切除不能な進行・再発胃がん
セリチニブ(ジカディア):ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(1次治療に対する適応追加)

2017/9/27適応追加
フルベストラント(フェソロデックス) 乳がん(イブランスの併用療法薬剤として適応追加)

2017/11/22発売
パルボシクリブ(イブランス):HR陽性かつHER2陰性の進行再発乳がんの患者に対する内分泌療法剤との併用
ダラツムマブダラザレックス):再発又は難治性の多発性骨髄腫
アベルマブ(バベンチオ):根治切除不能なメルケル細胞がん(MCC)

2017/11/30適応追加
ペムブロリズマブ(キイトルーダ):再発・難治性の古典的ホジキンリンパ腫

2017/12/25適応追加
ニロチニブ(タシグナ):慢性期または移行期の慢性骨髄性白血病(小児適応追加)
ペムブロリズマブ(キイトルーダ):がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん

2017年に承認申請された薬剤(2017年に承認された薬剤除く)

2016年12月以降に承認申請された薬剤は以下のとおりである。(※2017年に承認された薬剤除く)

2016/12/5
ダブラフェニブタフィンラー):BRAF V600遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(MEK阻害剤「トラメチニブ」と併用)
トラメチニブ(メキニスト):BRAF V600遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(BRAF阻害剤「ダブラフェニブと併用)

2017/2/17
アテゾリズマブ(テセントリク):切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
※第二部会通過済み

2017/4/27
イノツズマブ オゾガマイシン(ベスポンサ):再発又は難治性の前駆B細胞性急性リンパ性白血病

2017/5/26
アビラテロン(ザイティガ):ホルモン療法未治療転移性前立腺がん(去勢抵抗性前立腺がんとしては承認済み)

2017/6/23
レンバチニブレンビマ):肝細胞がん

2017/8/8
オラパリブ(リムパーザ):白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法
※第二部会通過済み

2017/9/29
ニボルマブ(オプジーボ):根治切除不能な悪性黒色腫(抗CTLA4抗体「イピリブマブ」との併用)
イピリブマブ(ヤーボイ): 根治切除不能な悪性黒色腫(抗PD-1抗体ニボルマブとの併用)

2017/10/23
オラパリブ(リムパーザ):術前補助療法、術後療法としての化学療法あるいは転移がんの治療歴を持つ生殖細胞系列BRCA変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がん

2017/10/25
ペルツズマブ(パージェタ):HER2陽性の乳癌における補助化学療法(パージェタ・ハーセプチン・化学療法併用)

2017/11/22
イブルチニブ(イムブルビカ):未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)(再発または難治性のCLL(SLLを含む)は承認取得済み)

2017/11/27
オシメルチニブタグリッソ):EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん

2017/11/30
デガレリクスゴナックス):12週間隔で投与する徐放性製剤(現在、4週間隔で投与する皮下注用製剤)

2017/12/22
ニボルマブ(オプジーボ):切除不能な進行または転移性の悪性胸膜中皮腫
ニボルマブ(オプジーボ):悪性黒色腫術後補助療法(根治切除不能な悪性黒色腫としては承認済み)

2017年がん分野承認・申請薬剤一覧(ダウンロード)

一覧については以下からダウンロードできます。

2017年がん分野承認・申請薬剤一覧_がん情報サイトオンコロ作成_20180110

注意:本データは、厚生労働省、医薬品医療機器総合機構(PMDA)や各製薬企業のホームページから情報を得ておりますが、(特に承認申請については)情報漏れがある可能性があることを予めご了承ください。

(文 可知 健太)

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