悪性胸膜中皮腫(MPM)の二次/三次治療としてのオプジーボ、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)を達成


  • [公開日]2017.10.31
  • [最終更新日]2017.11.24[タグの追加] 2017/11/24

2017年10月15日から18日まで横浜で開催されていた第18回世界肺癌会議(WCLC)にて、前治療歴のある進行または転移性悪性胸膜中皮腫(MPM)患者に対するニボルマブ(商品名オプジーボ)単剤療法有効性を検証した第II相MERIT試験(JapicCTI-No.163247)の結果が国立がんセンター中央病院・呼吸器内科の後藤 悌氏により発表された。

MERIT試験とは、プラチナ製剤ベースの抗がん剤ペメトレキセド(商品名アリムタ;以下アリムタ)を含む2レジメン以下の治療歴がある進行または転移性悪性胸膜中皮腫(MPM)患者(N=34人)に対して二次/三次治療としてオプジーボ240mgを2週間に1回の間隔で投与し、主要評価項目として独立委員会により評価した客観的奏効率(ORR;期待値19.2%)、副次評価項目として病勢コントロール率(DCR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を検証したオープンラベルの第II試験である。

本試験に登録された患者背景は以下の通りである。本試験は2016年7月から10月までの期間、15の医療機関で実施、男性85.2%、年齢中央値68歳(43-78歳)、パフォーマンスステータス(PS)1が61.8%、前治療歴1レジメン70.6%であった。また、悪性胸膜中皮腫(MPM)の組織型としては上皮型79.4%、肉腫型8.8%、二相型11.8%であった。

上記背景である悪性胸膜中皮腫(MPM)患者に対して二次/三次治療としてオプジーボ単剤療法を投与したフォローアップ期間中央値6.7ヶ月時点における結果は、主要評価項目である独立委員会により評価した6ヶ月客観的奏効率(ORR)は29.4%(95%信頼区間:16.8-46.2%)、組織型別客観的奏効率(ORR)は上皮型25.9%(N=7人)、肉腫型66.7%(N=2人)、二相型25.0%(N=1人)であった。

また、副次評価項目である6ヶ月病勢コントロール率(DCR)は67.6%、38.2%(N=13人)の患者で安定(SD)であった。その他、無増悪生存期間(PFS)中央値6.1ヶ月(95%信頼区間: 2.9-未到達)、全生存期間(OS)中央値は未到達、6ヶ月無増悪生存率(PFS)と6ヶ月全生存率(OS)はそれぞれ50.9% (95%信頼区間:32.7-66.5%)、85.3% (95%信頼区間:68.2-93.6%)であった。

一方の安全性は、治療関連有害事象が67.6%(N=23人)の患者で確認され、その内20.6%(N=7人)の患者でグレード3/4の治療関連有害事象が確認された。また、グレード2/3の肺炎により2人の患者が治療継続不可能になった。

以上のMERIT試験の有効性、安全性の結果を受けて2レジメン以下の前治療歴のある進行または転移性悪性胸膜中皮腫(MPM)患者に対する二次/三次治療としてのオプジーボ単剤療法は有望な治療選択肢となり得ることが証明された。

悪性胸膜中皮腫(MPM)は極めて悪性度の高いがん腫であり、アリムタベースの治療に対して増悪した場合に推奨される治療選択肢が限られる。以上のことからも、本試験でオプジーボ単剤療法が主要評価項目である客観的奏効率(ORR)を達成したことは、悪性胸膜中皮腫(MPM)の治療成績向上に貢献する可能性が示された。

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