2レジメン以上の治療歴を有する進行胃がんまたは食道胃接合部腺がん適応にて、キイトルーダが米国で承認~日本ではオプジーボが先行承認されたばかり、一方、米国ではキイトルーダが先行承認~


  • [公開日]2017.09.25
  • [最終更新日]2017.11.13[タグの追加] 2017/11/13

2017年9月22日、メルク・アンド・カンパニーは進行胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対するペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)の効能がアメリカ食品医薬品局FDA)より承認されたことを自社のプレスリリースにて発表した。なお、投与対象となる患者はPD-L1陽性でフッ化ピリミジン系薬、プラチナベースの化学療法、または適応がある場合は抗HER2治療薬などにより治療歴を2つ以上有する患者である。

本承認の根拠となった臨床試験はKEYNOTE-059試験(NCT02335411)で、本試験は少なくとも2レジメン以上の治療後に進行した胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者(N=259人)に対して、キイトルーダ200mgを3週間に1回の投与間隔で病勢進行または治療の継続が困難な副作用が発現するまで投与(最大で24ヶ月とする)した第II相の国際多施設共同非ランダム化の試験である。

主要評価項目は治療関連有害事象の発症率、治療関連有害事象による治療中止率をはじめとした安全性以外にも、RECIST1.1基準による客観的奏効率ORR)などの有効性を検証する項目を設定しており、今回の承認は本試験の客観的奏効率(ORR)、奏効期間DOR)の結果によるものである。

本試験に登録された患者259人の内143人にあたる55%の患者がPD-L1発現陽性(PD-L1発現は22C3抗体を用いた免疫組織染色にて測定され、CPS(Combined Positive Score)1%以上を陽性と定義)であり、その患者背景としては年齢中央値64歳(47%の患者が65歳以上)、性別は男性77%、女性23%、白人が82%。ECOG performance status (PS) は0の患者が43%、1が57%。TNM分類によりM0の患者が7%、M1は85%。前治療歴として2レジメンの患者が51%、3レジメン以上の患者が49%であった。

以上のような患者(N=143人)に対してキイトルーダ単剤療法を投与した結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は13.3%(95%信頼区間:8.2-20.0%)の患者で確認された。奏効割合の内訳としては完全奏効(CR)1.4%、部分奏効(PR)11.9%であった。また、奏効が確認された13.3%(N=19人)の患者の奏効期間(DOR)は2.8ヶ月から19.4ヶ月、6ヶ月以上の奏効期間(DOR)を達成した患者は58%(N=11人)、12ヶ月以上は26%(N=5人)であった。

以上の有効性に基いた承認に対して、Yale Cancer Centerのharles S. Fuchs氏はこのような見解を出している。”複数の治療歴を有する進行胃がんに対する治療の確立は長年に渡り開発にチャレンジされ、たくさんの患者さんに望まれていた治療である。進行胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する3次治療以降の治療としてキイトルーダの有効性がKEYNOTE-059試験で証明されたことは、現在、治療で困難を極める患者に対する効果の期待できる治療選択肢となり得るであろう。”

また安全性に関してであるが、最も一般的な治療関連有害事象しては疲労(18.9%)、掻痒感(8.9%)、発疹(8.5%)、甲状腺機能低下症(7.7%)、食欲減退(7.3%)、貧血(6.9%)、嘔吐(6.9%)、下痢(6.6%)、関節痛(5.8%)が確認された。

以上の客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)の有効性、そして安全性の結果より、フッ化ピリミジン系薬、プラチナベースの化学療法、または適応がある場合は抗HER2治療薬などにより治療歴を2つ以上有する進行胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する効能でキイトルーダ単剤療法がアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認された。

なお、日本では、2017年9月22日にニボルマブ(商品名オプジーボ)が、「化学療法の治療歴がある治癒切除不能な進行・再発の胃がん」適応にて承認されたばかりであるが、キイトルーダは承認されてない。

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