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EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がんの中枢神経系転移 脳に到達可能なタグリッソで奏効 ASCO2017

[公開日] 2017.08.18[最終更新日] 2017.08.18

目次

上皮増殖因子受容体(EGFR)T790M変異型チロシンキナーゼ阻害作用を有する非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬オシメルチニブメシル酸塩(商品名タグリッソ)が、中枢神経系(CNS)転移病変、および軟髄膜転移病変を有する患者にも有効性を発揮した。2017年6月2日から6日まで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、最新データが発表された。

AURA3:プラチナ製剤2種の併用化学療法と比べ中枢神経系転移(脳転移)等の増悪リスクがタグリッソで約7割減

AURA3(NCT02151981)は米国、カナダ、欧州、中国、日本、韓国、台湾、オーストラリアなど全世界の130を超える施設で実施されている計419例を対象とする第3相無作為化非盲検試験で、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療中、もしくは治療後に病勢進行した局所進行、または転移性のEGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を併用化学療法群(ペメトレキセド×カルボプラチン、またはペメトレキセド×シスプラチン)、またはタグリッソ群に割り付け治療した。タグリッソは承認用量の80mgを1日1回経口投与した。そのうち、測定可能、不能を問わず中枢神経系(CNS)転移病変を有する患者集団を抽出して有効性と安全性を評価、群間比較した。 その結果、主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間中央値はタグリッソ群(11.7カ月)が併用化学療法群(5.6カ月)と比べ有意に延長し(p=0.004)、増悪または死亡リスクが68%低下した(ハザード比(HR)=0.32)。測定可能病変を有する患者集団の中枢神経系転移病変における奏効率は、タグリッソ群(70%)が併用化学療法群(31%)の2倍を超え、群間有意差が認められた(p=0.015、オッズ比(OR)=5.13)。 タグリッソ群、併用化学療法群ともに有害事象はこれまでの報告と一致し、安全性に問題はなかった。 (Abstract9005)

BLOOM:タグリッソ承認用量の2倍で21例中9例の軟髄膜転移病変が奏効

BLOOM(NCT02228369)は米国、オーストラリア、韓国、台湾で実施されている目標登録161例の第1相非無作為化非盲検試験で、タグリッソは承認用量(80mg)の2倍量の160mgを1日1回経口投与した。そのうち、EGFRT 790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)がEGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療で病勢進行し、脳脊髄液の細胞診で軟髄膜疾患が確認された患者21例の治験医師判定の奏効率は43%であった。さらに、治療開始前の神経学的異常所見が確認されていた10例中7例(70%)に改善が認められた。 グレード3以上の有害事象は下痢(1例)、および悪心(1例)で、その他はいずれもグレード1またはグレード2であった。有害事象を理由に用量を減量したのは4例、投与を中止したのは4例であった。タグリッソとの因果関係が否定できない治療関連死は認められなかった。 (Abstract2020)

中枢神経系でも活性を発揮できる第3世代EGFR阻害薬として差別化

オシメルチニブは、ゲフィチニブ(商品名イレッサ)やエルロチニブ(商品名タルセバ)、アファチニブ(商品名ジオトリフ)に次ぐ第3世代の不可逆的EGFR阻害薬として、日本では2016年5月に発売された。第1世代、第2世代のEGFR阻害薬の治療が効かなくなるEGFR T790M変異陽性を確認した非小細胞肺がん(NSCLC)患者に処方されている。もともと、タグリッソはEGFR感受性変異、およびEGFR T790M耐性変異の両方のチロシンキナーゼを阻害することができ、しかも脳血液関門(BBB)を通過することは前臨床試験や過去の臨床試験で確認されていることから、現在、脳転移あり、なしの患者を含め転移に対する一次治療、軟髄膜転移に対する効果、あるいは他の治療薬との併用療法が検討されている。

中枢神経系転移病変を狙える分子標的薬は貴重

非小細胞肺がん(NSCLC)を含む進行がんの中枢神経系(CNS)転移には、脳実質転移と軟髄膜転移があり、これらは、タイプは違うもののいずれも予後は不良で、同時に生じることもある。原発巣の腫瘍細胞が血流に乗って脳内に運ばれ、そこで増殖する脳実質転移は、NSCLCに限らず進行がん全般に多く認められる合併症である。脳や脊髄を包んでいる髄膜に腫瘍細胞が播種する軟髄膜転移は稀である。どちらの転移の場合も、治療は腫瘍細胞が存在する場所まで有効成分を到達させる必要があり、血液脳関門(BBB)を通過することができない既存の治療薬では効果が期待できない。 CNS response to osimertinib in patients (pts) with T790M-positive advanced NSCLC: Data from a randomized phase III trial (AURA3).(ASCO2017 Abstract No.9005) Osimertinib for patients (pts) with leptomeningeal metastases (LM) from EGFR-mutant non-small cell lung cancer (NSCLC): Updated results from the BLOOM study.(ASCO2017 Abstract.No2020) 記事:川又 総江
ニュース 肺がん アファチニブ

医療ライター 川又 総江

国内製薬企業研究所研究員、大学医学部研究室助手を経てフリーのメディカルライターに転身。医薬・バイオ関連出版社等の文献翻訳、医療記事作成を執筆すること20年。

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