2017年8月1日、米国食品医薬品局(FDA)は”フッ化ピリミジン系薬剤又はオキサリプラチン又はイリノテカンによる前治療歴のあるDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する成人と12歳以上小児の進行再発大腸がん”の適応で、免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名オプジーボ)の迅速承認を行ったと発表した。

今回のニボルマブ(商品名オプジーボ)の迅速承認は、第II相試験であるCheckMate142試験(NCT02060188)における奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)の結果に基づくものである。CheckMate142試験とは、治療歴のあるDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する進行再発大腸がんに対してニボルマブ(商品名オプジーボ)単剤療法、もしくはニボルマブ(商品名オプジーボ)とイピリムマブ(商品名ヤーボイ)併用療法を投与した第II相試験である。

本試験では、74人の患者に対してニボルマブ(商品名オプジーボ)として1回3㎎/kg(体重)を2週間間隔で病勢進行又は許容できない有害事象が発症するまで投与された。その結果は、主要評価項目である治験担当医師による客観的奏効率(ORR)が31.1%(95%信頼区間[CI]:20.8–42.9%;)の患者で 、12週間もしくはそれ以上の病勢コントロールが69%(57–79) の患者で達成されたのだ。

注目すべき点としては、本試験に参加した53.1%もの患者の前治療歴が3レジメン以上であったことである。つまり、現在の大腸がんの標準治療薬であるフッ化ピリミジン系薬剤、オキサリプラチン、イリノテカンなどによる抗がん剤の治療を受けた後にニボルマブ(商品名オプジーボ)を投与したにも関わらず、3割近い患者で奏効を示したのである。

さらに、免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子とされるがん細胞のPD-L1発現率1%以上、1%未満の郡に分けて奏効率(ORR)を解析したところ、前者で29%、後者で28%の患者で奏効を示した。つまり、DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する患者に対してニボルマブ(商品名オプジーボ)はPD-L1発現の有無に関係なく有効であることが判ったのだ。他にも、既存の治療薬では効果が期待できなかった大腸がんの予後不良因子BRAF遺伝子変異の患者に対しても、25%の奏効を示している。

グレードを問わない有害事象(AE)としては70%の患者で確認され、最も一般的な副作用は疲労(22%)、下痢(20.0%)、そう痒(14%)、発疹(11%)であった。またグレード3または4の副作用としては、リパーゼ値の増加(5%)、アミラーゼ値の増加(3%)、疲労(1%)、および下痢(1%)が発症した。試験中に23人(31%)の患者で死亡が確認されが、いずれの死亡も治療関連によるものではないと治験医師により判定された。

以上の臨床試験の結果を受け、ニボルマブ(商品名オプジーボ)は前治療歴のあるDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する進行再発大腸がんの新しい治療選択肢となる可能性が示唆され、この度米国食品医薬品局(FDA)より承認された。

もう1つの免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は本適応に類似した適応”DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する固形がん”で米国食品医薬品局(FDA)より2017年5月23日に承認されているので、ニボルマブ(商品名オプジーボ)は世界で2番目に大腸がんの適応で承認された免疫チェックポイント阻害薬となる。

記事:山田 創


この記事に利益相反はありません。

人気記事