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キイトルーダの先駆け指定適応症、進行胃がんでの承認申請を後押しする最新データ ASCO2017

[公開日] 2017.08.02[最終更新日] 2017.08.02

目次

免疫チェックポイントのプログラム細胞死受容体1(PD-1)を標的とするモノクローナル抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は、2015年10月、治癒切除不能の進行・再発胃がんの効能・効果に対し、厚生労働省の先駆け審査の対象品目に指定された。現在国内では、キイトルーダは悪性黒色腫、および非小細胞肺がんの適応で承認されている。免疫チェックポイントを標的とする治療法はがん種を問わず、抗腫瘍免疫の回復、活性化を介した有効性が期待され、非ホジキンリンパ腫、および尿路上皮癌を適応症として一部変更承認申請も行っており、その他の様々ながん種でも後期臨床試験が進められている。 複数回治療歴のある進行胃がん、または食道胃接合部腺がんに対する単独療法の承認申請妥当性検証の目的で実施されたキイトルーダの第2相試験(KEYNOTE-059、NCT02335411)で、従来の治療法とは一線を画すレベルの有効性が得られ、2017年6月2日から5日開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で最新データが発表された(Abstract4003)。

化学療法歴2回以上で進行した治療困難患者集団を対象

少なくとも2回の化学療法を経験した患者、すなわち本試験でのキイトルーダ単独療法が三次治療以降となる259例が有効性解析対象で、キイトルーダは200mgを3週ごとに静注した。

奏効率は全解析対象で11.6%、PD-L1発現陽性集団で15.5%、三次治療集団で16.4%

・全解析対象(259例)における奏効率は11.6%で、完全奏効(CR)が2.3%に、部分奏効(PR)が9.3%に得られた。 ・腫瘍組織のPD-1リガンド(PD-L1)発現陽性(発現細胞1%以上)集団(148例)における奏効率は15.5%で、CRが2%、PRが13.5%に得られた。PD-L1発現陰性(発現細胞1%未満)集団(109例)における奏効率は6.4%で、CRが2.8%、PRが3.7%に得られた。 ・化学療法歴が2回でキイトルーダが三次治療となる患者集団(134例)における奏効率は16.4%で、CRが3.0%、PRが13.4%に得られた。化学療法歴が3回以上でキイトルーダが四次治療以降となる患者集団(125例)における奏効率は6.4%で、CRが1.6%、PRが4.8%に得られた。

グレード3以上の有害事象は免疫関連が最多で4.6%

キイトルーダの安全性はすでに報告されている試験データと同様で、グレード3からグレード4の治療関連有害事象は貧血(2.7%)、倦怠感(2.3%)、下痢(1.2%)などであった。グレード5は急性腎障害(1例)、および胸水(1例)であった。治療中止理由となった治療関連有害事象は肝機能異常(1例)、および胆管狭窄(1例)であった。グレード3からグレード4の免疫関連有害事象は4.6%に発現し、大腸炎、肺臓炎、甲状腺炎、甲状腺機能低下症、および重度皮膚反応であった。

進行胃がん患者の初回治療に5‐FU+シスプラチンにペムブロリズマブを上乗せした場合の予備的試験結果

KEYNOTE-059試験は、進行胃がん患者の初回治療に5‐FU+シスプラチンにペムブロリズマブを上乗せした場合の効果も検証している。10施設25名が登録されており、対照群も存在しない予備的な結果ではあるが、ASCO2017のポスターセッションで発表された(Abstract4012)。 フォローアップ期間の中央値は12.2か月。全患者の奏効率(ORR)は60%であり、PD-L1陽性患者(16人)の奏効率は68.8%、PD-L1陽性患者(8人)は38%だった。全員で腫瘍縮小が認められ、奏効期間中央値は、全患者で4.6カ月、無増悪生存期間(PFS)の中央値は6.6カ月、全生存期間中央値は13.8カ月だった。 76%にグレード3,4の治療関連有害事象が認められ、3例(グレード3口内炎、グレード2難聴、グレード1クレアチニン増加)が治療関連有害事象により治療を中止した。治療関連死は認められなかった。 現在、胃がんの承認申請に向けた臨床試験は4本実施されている。 KEYNOTE-059 cohort 1: Efficacy and safety of pembrolizumab (pembro) monotherapy in patients with previously treated advanced gastric cancer.(ASCO2017 Abstract No.4003) KEYNOTE-059 cohort 2: Safety and efficacy of pembrolizumab (pembro) plus 5-fluorouracil (5-FU) and cisplatin for first-line (1L) treatment of advanced gastric cancer.(ASCO2017 Abstract No.4012) 記事:川又 総江 & 可知 健太KEYNOTE-059 cohort 2: Safety and efficacy of pembrolizumab (pembro) plus 5-fluorouracil (5-FU) and cisplatin for first-line (1L) treatment of advanced gastric cancer.(ASCO2017 Abstract No.4012)
ニュース 胃がん 免疫チェックポイント阻害薬

医療ライター 川又 総江

国内製薬企業研究所研究員、大学医学部研究室助手を経てフリーのメディカルライターに転身。医薬・バイオ関連出版社等の文献翻訳、医療記事作成を執筆すること20年。

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