2025年5月30日-6月3日、米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)にて、PD-L1陽性の進行トリプルネガティブ乳がんに対する初回治療としての抗TROP2抗体薬物複合体トロデルビ(一般名:サシツズマブ ゴビテカン)+抗PD-1抗体キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の有効性・安全性を検証した多施設オープンラベルランダム化
第3相 ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験(NCT05382286)の結果が発表された。
試験デザイン
対象
未治療のPD-L1陽性(≧CPS 10)局所進行または転移性トリプルネガティブ乳がん
治療法(レジメン)
試験群:1サイクル21日としてトロデルビ10mg/kgを1、8日目+キイトルーダ200mgを1日目(n=221)
対照群:化学療法(ゲムシタビン+カルボプラチン or パクリタキセル or nab-パクリタキセル)+キイトルーダ(n=222)
評価項目
主要評価項目
無増悪生存期間(PFS)
副次評価項目
全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など
結果
有効性
追跡期間中央値14ヶ月において、PFSの中央値は試験群で11.2ヶ月に対して対照群で7.8ヶ月であり、試験群で有意な改善が認められた(ハザード比:0.65、95%信頼区間:0.51-0.84、p<0.001)。また6ヵ月時点のPFS率は、72%に対して63%、12ヶ月時点のPFS率は、48%に対して33%であった。
またORRは、試験群で60%に対して対照群で53%、DORの中央値は、16.5ヶ月に対して9.2ヶ月であり、いずれも試験群において良好な結果が得られた。
OSは今回の解析時点では未成熟であった(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.62-1.29)。
安全性
グレード3以上の治療関連有害事象(TEAE)の発現率は、試験群で71%に対して対照群で70%であった。またTEAEによる治療中止は、それぞれ12%に対して31%、TEAEによる減量はそれぞれ35%に対して44%であった。
試験群で発生頻度が高かったグレード3以上のTEAEは、好中球減少症(43%)、下痢(10%)、対照群では、好中球減少症(45%)、貧血(16%)、血小板減少症(14%)であった。
結論
PD-L1陽性の進行トリプルネガティブ乳がんに対する初回治療としてのトロデルビ+キイトルーダは、化学療法+キイトルーダと比較して良好な抗腫瘍効果を示し、新たな標準治療となる可能性を示唆している。
参照元:
Sacituzumab govitecan (SG) + pembrolizumab (pembro) vs chemotherapy (chemo) + pembro in previously untreated PD-L1–positive advanced triple-negative breast cancer (TNBC): Primary results from the randomized phase 3 ASCENT-04/KEYNOTE-D19 study.(ASCO 2025)