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ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん ALK標的薬を直接比較する大規模第3相試験 ASCO2017&NEJM

[公開日] 2017.06.14[最終更新日] 2017.06.14

目次

未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性で全身治療歴のない非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とする第3相試験(ALEX、NCT02075840)で、アレクチニブ(商品名アレセンサ)はクリゾチニブ(商品名ザーコリ)と比べ、がんを増悪させない期間を約15カ月間にわたり延長した。初の中間解析結果ではあるが、第2世代のアレセンサが第1世代のザーコリを上回る有用性が示されたデータで、2017年6月2日から5日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2017)のLate-Breaking-Abstruct(LBA)枠で発表され、2017年6月6日のNew England Journal of Medicineにも掲載された。 日本では、ザーコリは2012年5月から、アレセンサは2014年9月から販売されているALK阻害薬で、効能・効果はいずれもALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんである。

アレセンサの初治療で進行・死亡リスクがザーコリより53%低下

ALEXは米国、カナダ、オーストラリア、欧州などで実施されている無作為化非盲検試験で、未治療でステージIIIB/IVのALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者303例をアレセンサ群(600mgを1日2回経口投与)、またはザーコリ群(250mgを1日2回経口投与)に割り付け治療した。無症候性の中枢神経系(CNS)転移を有する患者も適格例に含めた。主要評価項目は試験者判定の無増悪生存(PFS)期間、副次評価項目は独立評価委員会(IRC)判定のPFS期間、IRC判定のCNS病勢進行までの期間(TTP)、奏効率、全生存期間(OS)、安全性などであった。 その結果、本中間解析における追跡期間中央値はアレセンサ群が18.6カ月、ザーコリ群は17.6カ月で、解析時点における病勢進行、または死亡の患者の割合はそれぞれ41%(62/152例)、68%(102/151例)であった。 試験者判定の無増悪生存(PFS)期間は、アレセンサ群では特定に至らず、ザーコリ群ではPFS期間中央値が11.0カ月で、12カ月間における無増悪生存(PFS)率はそれぞれ68.4%、48.7%と算出され、アレセンサ群はザーコリ群と比べ病勢進行、または死亡のリスクが53%有意に低下した(p<0.0001、ハザード比[HR]=0.47)。 独立評価委員会(IRC)判定でも試験者判定と同等の生存ベネフィットが認められ、PFS期間中央値はアレセンサ群(25.7カ月)がザーコリ群(10.4カ月)より有意に延長し、病勢進行、または死亡のリスクが50%有意に低下した(p<0.0001、HR=0.50)。 IRC判定による中枢神経系(CNS)転移病変が増悪するまでの期間(TTP)もアレセンサ群の優位性が認められ、ザーコリ群よりリスクが84%低下した(p<0.0001、HR=0.16)。CNS転移病変増悪が認められた患者の割合は、アレセンサ群12%(18例)、ザーコリ群45%(68例)であった。奏効率(各82.9%、75.5%)は群間有意差がなかった。病勢進行または死亡の発生率が25%の時点では、全生存期間(OS)の群間有意差も認められなかった。 グレード3以上の有害事象はアレセンサ群(41%)がザーコリ群(50%)より少なく、致死的な有害事象(各3%、5%)もアレセンサ群の発現率が低かった。主な有害事象は、アレセンサ群では疲労、便秘、筋痛、むくみなどで、ザーコリ群では消化器症状、肝酵素以上などであった。 中枢神経系(CNS)転移病変のコントロールにすぐれるアレセンサ ALEXは、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の初治療としてのアレセンサの可能性を、第1世代のザーコリと直接比較する初めてのグローバル試験である。試験者のひとりで、米国マサチューセッツ総合病院がんセンターのAlice T. Shaw氏は、「アレセンサは特に、患者の生活の質(QOL)への影響が大きい脳転移病変の抑制、あるいはコントロールに高い有用性が期待できる」と記者会見で語った。またShaw氏は、「分子標的薬による進行肺がんの治療では、無増悪生存(PFS)期間中央値は概ね12カ月である。これを踏まえると、今回のアレセンサではその2倍以上。ザーコリの約10カ月と比べ15カ月も延長する可能性があるとは想像していなかった」 アレセンサもザーコリも血液脳関門(BBB)を通過するが、アレセンサの方がザーコリよりも脳転移抑制効果にすぐれたことから、アレセンサの方が脳内への移行性は高い可能性が示唆された。治療開始後12カ月時点で、脳転移病変が確認された患者の割合は、アレセンサ群(9%)がザーコリ群(41%)の4分の1以下である。 Shaw氏らは今後も長期追跡を継続し、アレセンサの生存ベネフィットがザーコリよりどの程度上回るかを見極める。一方で、やはり一次療法として、他の次世代ALK阻害薬とザーコリを比較する試験も複数実施している。

日本でもアレセンサ vs ザーコリの第3相試験を実施

ALEXと同様、未治療のALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者200例を目標登録とする無作為化非盲検試験(J-ALEX、JapicCTI-132316)が行われており、日本人患者にはアレセンサの用量を300mgとして1日2回経口投与、ザーコリはALEXと同様、250mgを1日2回経口投与した結果、アレセンサ群の病勢進行、または死亡リスクはザーコリ群より66%有意に低下した(p<0.0001、HR=0.34)ことが報告されている。   Alectinib Halts Lung Cancer Growth More Than a Year Longer Than Crizotinib(ASCO News Releases) Alectinib versus crizotinib in treatment-naive advanced ALK-positive non-small cell lung cancer (NSCLC): Primary results of the global phase III ALEX study.(ASCO2017 Abstract LBA9008) Alectinib versus Crizotinib in Untreated ALK-Positive Non–Small-Cell Lung Cancer(New England J Med; June 6, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1704795) 記事:川又 総江
ニュース 肺がん アレクチニブ

医療ライター 川又 総江

国内製薬企業研究所研究員、大学医学部研究室助手を経てフリーのメディカルライターに転身。医薬・バイオ関連出版社等の文献翻訳、医療記事作成を執筆すること20年。

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